これの続き.
godiva-frappuccino.hatenablog.com
先に断っておくと,研究生活はとても辛かった*1*2けど,元々覚悟の上だったことと,知見は多く有意義な点は多かったと感じている.そして,色々研究について悩む機会が得られたのも,これだけ深く考えた結果*3なので,その点はとても良かったと思う.
今のところ,やはり自分が見ている研究が正しいのかわかっていない.それについて,Twitterの投稿や自分の考えを深める中で少し言語化が進んだ気がするので,メモ程度に残しておく.
まず,仮定が強すぎる研究は自分が信じるには複雑すぎる.前提となる理論Aが存在し,それを元に理論Cが成り立ち,更にBを元に理論Cが成り立つ,といった構造を考えてみる.
ここで,Aが90%の確度で信頼できるとする.Aが正しそうなので,Bを検証する.Bも90%の確度で信頼できそうだ,じゃあCも検証してみよう.
結果として,Cも90%の確度で信頼できそうなので,Cも正しい!といった感じに話が進んでくれれば良い*4が,Aは信頼できるのではなくて,"90%の確度で信頼できそう"以上のことは示していない.しかし,”信頼できる”,”信頼できない”と二分してしまい,確度100%のもののように扱ってしまう.それに,AとB,AとC及びBとCが独立である保証もない.
更に,定義不良の言葉がたくさん出てくる分野だと理論の積み重ねが難しいと感じている.僕の頭の中ではロボットを想定しているが,例えば,”可愛い”エージェントを用いると良いと言ったときに,この”可愛い”と言う単語は一次元ベクトルではなくて,もっと複雑なものである.そこで,可愛いエージェントを使うと良い結果が出ます!と言われても,他の人が自分が可愛いと思うエージェントを使っても,結果が変わるかもしれない.この辺りは,複合要素を分解して要素ごとに検定をかけていたり,丁寧にやっている部分もあるので,一概に否定するものではなさそう.
ただ,その調整を細かくしているとなると,他の研究者が違うロボットを用いた場合,真にその要素が聞いているのか判定つきづらいと思う.少なくとも僕は分からない.*5
逆に,一つのエージェントを用いて研究を積み重ねることでエージェントの違いを排除して要素を見られるのは良いことだと思っている.
そして,定性的な議論で良くないなと感じるものがある.(これから訂正的な議論をするが…?)例えば,不気味の谷で人間らしさが横軸に取られているが,人間らしさに具体的な指標がないので,ある程度人間らしいと不気味になるよねと印象を評価することはできても,結構都合の良い理由づけになってしまう気がしている.
研究どうしようね…という件で少し人に相談ところ,信用できないなら数学をやれば良い,納得が行かずに放浪し続けても何も見つからないかもしれないよ,といったことを言われたりした.*6
まず,数学は信用に足ると思う*7けど,自分が研究としてやりたいのはそこではないので勉強としてやりたいなと.とてもウェットだけど,人間やエージェントのモデル化,インタラクションだったり人形についてやりたい.
また,現状研究分野の方法論に納得がいっていないけど,いろんなものを見て納得できるものがなければ全て仕方ないのかなと思う.能力が足りないのも含め,自分が納得いくものとして探しているので,仕方ない.*8
とりあえず,悩む期間の延長を覚悟しながら大学院には進むと思うけど,どうしようね…しばらくは方法論の妥当性とか,研究の中身に立ち入らない部分で悩むことになりそう.