人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

それはそうと博士後期課程には進学しません

ということに決定しました.一度就職した後に戻ってくることも今のところは考えていない.その理由としてはモチベーションが半分と適性が半分.

モチベーションについて

学部4年生で研究室に配属されてから約2年で,多くの学びがあった.大まかに分けると3つになると思う.

  • 研究分野に関する知識や経験:論文を読んだり,研究の背景を聞いたり,本で勉強したり.僕は機械学習とHAI分野に関する知識を少しばかりは得ることができたと思うし,実装も少しした.ただ,何十年もやっている人がたくさんいるくらいには奥が深くて自分はその手前の方に突っ立っていることを認識した.これも良い経験だと思う.そして,分野は固まったものではなく,どんどん新しいものを切り開いていく必要があるとか,そういうことも実践しているかどうかはともかく聞いたりした.
  • 研究のプロセス:まず,仮説を立てる.それを検証して更新する.最後に思考を整理して人に伝える段階に持っていく.この一連の流れ(正確にはループしているが…)を経験することには意義があると思った.卒論を書くだけではなくて,後から自分の研究を振り返ったり,人に話したり細かいところまで論理を詰めていくのはとてもしんどい.これはとても苦手なので今もしんどい.
  • 研究界隈の雰囲気:しばしば「研究者は社会に出ないで…」などと言われることもあるが,実際企業から大学に移動する教員もいるし,研究者の中には企業と共同研究されている方もいる.また,政府からの風当たりが強い(ように感じる).その他にもいろいろ思うところはあるが,そういった当事者の事情を少しでも知ることができたのは今後生きていく上で重要な気がする.工学分野に限定される部分も多いが,学問のプロセスがどのようなものであるか,知っておくと良い気がする.

とまぁ,学んだことは多い.しかし,やりたいことは研究とは異なっているように感じた.研究に関する認識として,”一般化される形で知見を探す”ことであり,個々の貢献はしばしば詳細な物事である.例えば,ロボットの表情のこんな要素が人間の印象に影響しますとか,ロボット相手でも見つめられると罪悪感を感じるとか.具体例にあまり意味はないしが,こういった研究をリスペクトはしている.

特に僕が興味のある物事として,ロボットやぬいぐるみのような無生物が何かしらの形式で動くことがある.公共空間で人と共生するサービスロボットでも,家庭用の癒しグッズでも良い.しかしここで僕が求めるのは持ち合わせた技術全てをつぎ込んで何かを作ることであって,個々の知見を探すことではない.ポイントは2つで,まず発見することではなく作ることに興味があり,次に個々の知見ではなく全て合わせたものに興味がある.大雑把なことを言って仕舞えば,蓄積された知見を全て合わせて最強のロボットを作りたい.そういう意味でも研究のことをリスペクトしている.

適性

とにかく研究に向いていない.研究を行うには自分を管理する必要がある.生活習慣もそうだし,進捗管理もそうだし,研究テーマにしても自分の中でテーマを持ってそれをどのように組み立てていくか考える必要がある.僕は修士課程の人間なので実情を理解しているとは言えないが,とにかくやることが多い印象がある.多分マネージャとかも向いていなくて,与えられた仕事をこなす職工みたいなのが向いている気がする.

また,考え事をするのは好きだが,細かいところまで論理的に厳密に詰めたり,整合性をとるのは得意ではない.論文よりも与太話のような文章を書いて,その論理の破綻を楽ませる方が得意だと自覚している.

結論

今までの学びは多かったし,研究界隈における学びはいれば大きいとは思う.しかし,モチベーションと適性の観点から博士課程には進学することはないと思う.今研究で行っている分野には興味があるし,研究に関しても良い関わり方があればその辺りは前向きに考えていきたい.ただ研究所とか大学には行かないかな…ものでもサービスでも,何かでかいものを作りたい.