人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

マッチングアプリをやってみた話

初めに

マッチングアプリをやってみました.これは非常に不服な表現ですが彼女ができました(Pairsは基本的に登録する際に男性/女性と分けることになっていて,セクシュアリティに関する詳細な表現ができないので”彼女”と表記しており,より良い表現としては”恋人”とか”人間とお付き合いすることになりました”と表記するべきだと考えています)

あまりプライバシーに関する個人的な話をしてもつまらないし誰も得しないので,再現性を確保する為に何かしら寄与したと思われる戦略などについてつらつらと述べていこうと思います.

それと,最初にマッチングアプリとはどのようなものかについても述べておきます.僕自身偏見があったので,同様に偏見を持っている人に対して何かしら貢献できる内容になれば嬉しいです.

私が何者か

まず,セクシュアリティや趣味・身分によって最適戦略が異なるかと思うので,自分がどのような人間か大まかに自己紹介します.

僕はヘテロ男性とカテゴライズされることにそれほど不満はないですが,多分ジェンダー的なものはそれほど気にしていなくて,シンプルに美とか可愛さとかそういうのが好きな人間,結果的にそれを典型的に表現する人間には女性と雑にカテゴライズされる人が多い,それだけの話です.理系大学院生です.趣味は明確にこれといった活動を挙げづらいので方向性を示すと,美・人間・無生物です.恋愛に関してはそれほど経験は多くないです.その上で,現在の大学院及び社会に出た後に出会いが期待できないため,恋人を真面目に探す目的でマッチングアプリをインストールしました.

ということで,"男性"目線の主張になり得る部分があります.経験できない部分に関しては推測を含むので,その辺りもご容赦ください.

マッチングアプリがどのようなものだったか

概要・特徴

これは公式を見た方が早いので,個人的に思ったことを書きます.

Pairsは男性と女性が出会うためのアプリケーションになっていて,交際までのプロセスを出会う→お話する→交際とした場合に主に出会うところをサポートするツールです.まずはプロフィールから気になる人にいいねして出会い,トークやビデオ通話機能を通じてお話する.それ以降は個々人に委ねられます.

特徴として,後述しますが趣味や主義を”コミュニティ”として登録でき、同じコミュニティの人間に出会いやすいというのがあります.恋愛において何を重視するかは人によりますが,趣味の近い人間は気が合う場合も多いんじゃあないでしょうか.

基本的な流れ

Pairsの例を説明します.概ね他のアプリでもそうだと思うポイントを述べますが,詳細で異なる点があるかもしれません.ここからは概要を掘り下げたものになります.

まず,男性/女性を選んで登録*1し,プロフィール情報を入力します.プロフィール情報は大きく分けて顔写真・選択式の基本情報・自由記述コメント・一言の4つになります.選択式の基本情報は身長や年齢といった個人情報に加え,子供が欲しいか,結婚に対する意思といった恋愛に関係する物事が含まれます.

その後,気になる異性とマッチする必要がありますが,基本的に検索することになります.検索には先程のプロフィールを用いたフィルタ機能に加え,コミュニティという機能が存在します.これは趣味や趣向といったものをカテゴライズしたもので,自由記述欄と異なりある程度カテゴライズされることで検索しやすくなります*2

例えば”ジョジョの奇妙な冒険”,”お笑い”といった趣味に関するものから,”真剣に出会いを探しています”,”休日は家でゴロゴロ”といったライフスタイルやアプリに対するスタンスに関するものがあります.これによって共通の趣味を持つ人をまとめて探すことができる他,”メガネ男子が好き”といったコミュニティに所属することで女性も自分のことを探しに行きやすいといったメリットがあるのかと思います.

気になる異性を見つけたらいいねを送ります.このいいねというのが双方でマッチするとマッチングするとメッセージを送れるようになります.いいねは月毎に送れる回数が決まっていて上限を増やすには課金する必要がある他,例外的にいいねを3ポイント消費することでメッセージ付きいいねを送ることができます,最近ではビデオ通話機能が追加されていて,LINEなどのSNSを介さずに会話が可能になっています.ちなみに女性側はいいねしなくてもメッセージを送れるらしいです*3

基本的にマッチした後の行動は個々人に委ねられます.テキストベースの会話を繰り返したり,ビデオ通話してみたり,実際に会ってみたり.ちなみにここでは通常複数人の異性と並列で会話をすることになるかと思います.*4

出会いがサポートされたので,あとは通常通りの恋愛・人間関係の話になります.ということで割愛します.

賽の河原での石積み

賽の河原はご存知でしょうか.僕はひたすら石を積み続け,ある程度積むと崩されるものだと認識しています.

まず前提として,本当に合う人間は割合として少ないと思われます.恋愛目的の人間であるかどうか,趣味,ライフスタイルといったさまざまな面である程度一致する必要があります.その為,1,2人ではなく一定数の人間とやりとりをする必要があります.

しかし,これが問題であり,多くの人間に真摯に対応するにはコストがかかります.また,話してみて少しでも違うなと感じた際に無視するだけでやり取りをやめることができてしまいます.結果的に,「やりとりが続かない人が大量に現れる」ことになります.そもそもマッチしないためやりとりが始まらないケースも多いかと思います.

数を打たなければ当たらないにも限らず,容易に石を崩す行為が増長される構造になってしまっているのだと思います.結論としては,ある程度辛抱強くやる必要があるのだと思います.

恋愛の構造は変わっていない

大体ここに書かれています.この記事を全て肯定するわけではないですが,使ってみた感想として,引用部分に関しては同意します.

president.jp

これがどういう結果を生むかといえば、一部の恋愛強者男性による勝者総取りパターンとなるわけです。言葉を選ばずに言えば、「今まであまり恋愛経験のない、結婚相手を探す婚活女性たち」という獲物を求めて、肉食の恋愛強者男性(既婚の不倫目的も含む)が自由に行動できる刈り取り場となっている可能性があります。

中には、そもそも恋愛経験の少ない恋愛弱者男性も、真剣に結婚相手を求めてこのサービスを利用している男性もいることでしょう。しかし、そうした「控えめな誠実さ」は、恋愛強者男性たちが放つ「魅力的な能動性の光」の前に埋没し、いたずらに課金だけを重ねていくという結果になりかねません。どこの誰かも分からない恋愛強者の快楽のセックスのために、恋愛弱者はお金を払っているとも言えるのです。 

 オフラインでも存在する恋愛強者男性による勝者総取りパターンがオンラインでも発生しているだけですね.

また,男女の非対称性は存在しています.これは推測を含みますが,男性はわかりやすくモテる一部の男性のみいいねが大量に来ているのかなと思います.女性の場合はプロフィールをあまり埋めなくても顔写真のみでいいねが大量についたり,とりあえず沢山いいねがついています.原因はまぁ色々あるかと思いますが,ちょっと悲しくなりますね.とりあえず大量にいいねがつくのである意味ノイズが多く,女性側もその中からいい人を見つけるのが大変なのではないかと思います.

 

自分が取った戦略

多分モテる必要はなさそう

 基本的に,最終的に付き合う相手は1人と仮定します,そうでないと不誠実なので.その場合,”モテる”必要はなく本当に合う人間を1人見つければ良いことになります.”なぜか”存在するモテる男性が総取りするフィールドで戦っても金を吸い取られるだけですね.

まず自分を理解すること,自分の魅力が何であって,自分がどのような人と気が合いそうか.ターゲティングを適当に行うことが重要なんじゃあないかと思います.自己分析をしてその上でマッチする企業を探すわけです.

そして,プロフィールは自己紹介ではなくアピールポイントです.この辺りは就活や研究をされている方ならなんとなく勘づかれるかもしれません.自分がどのように相手にとってメリットがあるか記載したり,趣味の話ならそれを掘り下げられそうな要素を散りばめておいたり,本当に就活みたいなことをしていますね.

そこで,誰にでもウケる話をする必要はなくて,仮想的に自分に合う人間のタイプを想像して,それに適合するような形で書く必要があります.勿論嘘を書いたら後でバレますが,合いそうな趣味を書いておくと良いのではないでしょうか.プログラマになるのにカンボジアで小学校を建ててもポカンとされかねないので…

ある程度まともな人間でないとマッチできない

そもそも最初から変人が過ぎると物好きしか反応しませんね.”モテる必要はない”と言いましたが,まず第一印象でコミュニケーションに漕ぎ着ける程度のまともさは必要です.プロフィールの書き方のコツを紹介しているサイトはいくつかあるので,それを参考にプロフィールを作成すると良いかと思います.市場の調査や相手から自分がどうみられるか意識できるのはコミュニケーションにおいて大きいのではないかと思います.

これは色んなサイトに書かれていることですが,真人間アピールをしましょう.あと友達に撮ってもらった写真を可能な限り使った方が良いらしいです.そのほうが社会性があると捉えられるのかもしれないですね(僕は自撮り写真しか使ってないですが…)

それ以降のコミュニケーションの為に,差別化を図る要素を入れる

あなたはある程度まともな人間なりました.しかし,同様の手順を踏んだまともな人間は沢山います.相手側からしたら誰を選んでも良いことになります.ということで,自分でなければいけないポイントはあるに越したことはないかと思います.

先程も書きましたが,就活でも,プロフィールに面白エピソードを引き出すための特技を入れよう!とか,頑張りアピールができそうな経験を自己PRに書きましょう!とかあった気がします.僕はたまたま美少女なので,ある程度顔面を作った写真などをプロフィールに入れていました.後普通にメイクは好きなので*5そのあたりの話は書いています.この時点で合う人間は減りますが,そもそも自分に合わない人間と話してもお付き合いする話に発展しないと思うので…

その上で一般的過ぎない趣味の合う方を探しました.僕自身”食べるのが好き”程度の粒度ではなく細かい趣味などの話が伝わる方が良いと思ったので,その辺りに絞りました.球体関節人形とか.他にはプロフィール写真に性癖マシマシの好きな本を入れたりしました.ただこの辺りは結構人によって,僕がたまたま趣味に偏りのある人間なのでそういう戦略を取ったに過ぎないです.

また,差別化はプロフィール以外でも可能で,経験というのは案外大きいのではないかと思います.ビデオ通話や実際に会って話すことは情報量が大きいですし,それは大きな差別化のポイントになるんじゃないでしょうか.勿論他人との比較だけではなく,相手との関係を進める上でも重要なことだと思います.コロナ禍ということで人間とオフラインコミュニケーションを取ることが難しいですが,正直大きな要因だと感じています.ただこれに関しては人によってスタンスが異なるので相談の上といった感じがします.

元も子もないこと

マッチングアプリは出会いをサポートするもので恋愛をサポートするものではないので,出会い以外がボトルネックになっている場合は有効ではないのかと思います.要するにスペックやコミュニケーション能力に問題がある場合は難しいのかもしれません.勿論これは一元的な指標ではないし相手との関係性によっていくらでも変わるものなので一概にどうとは言えないです.ただ,こういった注意書きを書いておくくらいはした方が良いのだと思います.

それと,ある程度運は絡むと思います.たまたま自分の魅力が伝わらず連絡が続かなかったり,自分に合う方が見つからなかったり,ということは往々にしてあるかと思います.根気が必要になる可能性は覚悟した方が良いです.

 終わりに

結局任意のツールはただ使うだけではなくて重要なポイントを理解して使いこなせるかどうかだと思うので,その理解の一助になればと思います.

あとこれは僕の信条でしかないですが,誠実な人間が報われると嬉しいので誠実にやっていきたいですね.

*1:LGBTqの問題などあるかと思いますが,大まかな区別というのは必要なものなのかもしれません.ちなみにセクシュアリティに関しては自由記述のプロフィールに書かれている方もいます.

*2:ちなみに自由記述欄の検索にはプレミア会員登録が必要でお金がかかります

*3:なるほどね

*4:個人的な感想ですが,僕はそういうのはあまり好きではないので心苦しかったです.数人とやりとりはしましたが,1人の方とあった時点で他の人と会うのは不誠実かなと思い他の予定は全てキャンセルしました.

*5:これはmakeコマンドのことではなく化粧品を顔面に塗りたくる行為を指しています