人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

ポリアモリー・黄金の精神・カント

婚活と称して自らの恋愛観の解体のために本を読み始めました。

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ポリアモリー

ポリアモリーという言葉をご存じでしょうか。私自身最近知った言葉なのですが、poly-(複数の)+amol(愛)を意味する言葉で、複数の相手と恋愛関係を結ぶことを意味する言葉みたいです。

言葉の成り立ちだけ聞くとあまり良くない印象を受ける方もいるかもしれませんが、浮気のように隠すものではなく、複数人との関係を公開する、相手を尊重するといったいくつかの共通認識のもとに成り立つ関係性のことを言います。

個人的に興味を持った点として、恋愛関係に限らず相手に対して責任を持ち、関係を継続させるために何かしらの考え方を用いて互いの関係にコミットし続けることがあります。

より具体的な考え方として、以下の書籍ではポリアモリーの実態についてフィールドワークを行っている深海さんがその特徴について紹介しています。

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  1. 合意に基づくオープンな関係
  2. 身体的・感情的に深く関わり合う持続的な関係
  3. 所有しない愛
  4. 結婚制度にとらわれない自らの意志と選択による愛

こういた特徴を聞いたとき、正直なところpoly-に関係なく人々の人間関係として実践すると良い考え方ではないかと思いました。

また、ポリアモリーの倫理について、『ポリアモリー 恋愛革命』という書籍がありそこで言及されているらしいですが、日本語の書籍が17,000円くらいに高騰していたので買えませんでした(大学の図書館にもないみたいで泣きました)

  1. 意思決定は合意の上で
  2. 正直であれ
  3. 相手を思いやる
  4. 本気でかかわる
  5. 誠実であれ
  6. 個性を尊重する

他にも、複数の愛を生きる上でmono-な恋愛とは異なる課題もあり、例えば嫉妬については章を設けて語るほどには重要視されていました。他にも、複数人との予定や関係性の調整というところでタスク調整や関係性についての議論が積極的に交わされる点についてはポリアモリーで特徴的ではないかと思います。

私自身がこういった思想を持つかどうかは別にして、オルタナティブな関係性の模索を続けていくことが大事だと思います。ブログタイトルの通りですね。また、現代思想では様々なトピックが紹介されており、メンヘラ少女のオートセオリー、クワロマンティック、ロマンティックラブの現在、ゴースティングといった話もあるので人々は読んでください。

黄金の精神

ジョジョの奇妙な冒険の5部は既に履修済みでしょうか。ジョジョの奇妙な冒険では主人公のジョースター一族やその仲間たちに共通する精神として、黄金の精神があります。そして、それに対比される形で、5部では「吐き気を催す邪悪」という言葉が登場します。これは自らの利益のためだけに何も知らぬものを利用することを指し、劇中でも敵が自らが絶頂であり続けるために他人を利用する姿が描かれており、シリーズの中でも特にこの精神性の対比が強く表れているように思います。

話は逸れますが、2部でジョセフがワムウに対して敬礼を取ったのは戦士としての姿勢に感服したことがあり、その逆にカーズは戦いを侮辱した、というところも地味にこういった全体の思想のもとに展開された物語だということを感じます。勿論ブランド―の血筋も吐き気を催す邪悪側ですね。

黄金の精神に話を戻すと、具体的に明言された吐き気を催す邪悪とは異なりあまり明確な定義は見つからないのですが、(非公式ですが)ピクシブ大百科では以下のようなものが挙げられています。

dic.pixiv.net

  • 目の前の恐怖に屈しない勇気
  • 弱者を思いやる優しさ
  • いかなる困難をもはねのける精神力
  • 自身の矜持と責任に殉じようとする覚悟
  • 自分の宿命をありのままに受け入れる潔さ
  • 悪質・卑劣・無責任な言動や思想を批判・糾弾する誇り高い意思

poly-に限らない関係性の構築について考えたとき、こういった相手に真摯さがあると良いのではないかと思いました。勿論意図的にこれらを破ることにもよさはあるのですべて呑み込むことを肯定するわけではないですが。

カント

それはそうと純粋理性批判で有名なイマニュエル・カントは倫理関連でも様々な書籍や発言を残し、その中でこんなことを言っていたらしいですね。原著を読む頭はないので緩めの書籍から。

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君は、みずからの人格と他のすべての人格のうちに存在する人間性を、いつでも、同時に目的として使用しなければならず、いかなる場合にもたんに手段として使用してはならない。

 

定言命法の一つです。これを初めて聞いたときかなり「黄金の精神」らしいなと思ったのですが、自分及び相手を手段として用いず目的として扱う、という姿勢は所有しない愛とも相性が良く、尊重されるべき考え方ではないかと思いました。

この本では学問(特に人文科学・社会学の立ち位置)、功利主義ジェンダー、幸福論について現代的な目線で語られていて、かなり面白かったです。特に現代では落ち目にあるロマンティックラブを道徳的観点から擁護する論や浅い議論で批判されがちな功利主義についての立ち位置といった議論は読んでいて面白かったです。

まとめ

婚活何もわからないですわね。