人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

人生を諦めていく

 最近ぼんやりと考えていたことをまとめていきます。要約すると、気楽に生きつつできることを緩く広げ、その間にできていたことも緩く忘れていこうと思います。

 まず、知性の話をするために大学院生くらいまでをさかのぼります。小学生~高校生の頃、勉強ができないことはなかったのですが常に思考がごちゃついている感覚があり、うまく思考ができないものだなぁと思っていました。大学生の頃、一度勉強ができずにかなり苦労して、その後本を読むようになったり勉強を頑張ったりして何とかなる様になり始めました。その時はがむしゃらにやっていたのでうまくやれなかったのですが、ここ最近勉強の仕方を勉強する、であったりタスクを実行する自分とタスクの割り振りをする自分を分ける、といったメタ的に自分を制御する方法に気づき、ようやっと自らの行動における主体性を獲得しました。小学生のころから感じていた思考のまとまりのなさについても、多分思いついたことがあるとそれに思考を引っ張られてしまう特性によるものだったと思っていて結構人の話を聞けなかったりしたのですが、歳と共に改善すると同時に「今はこれをやる時間である」と割り振っていくことで、人生を進める能力が身についてきました。

 知性を考えると、大学院生の頃が一番難しいことに触れていた気がします。というのが、高校生の頃は東大も含めた赤本を眺めてこれは難しい…と思ったりしていたのですが、自分でそれを解く理解の前段にある解説を読めば分かった気になれる程度のレベルにはいたものもあったので、実はそれほどの難しさに触れていなかったように感じます。大学の講義はかなりレベルが上がり、表面的に手続きを覚えるのではなく定義を丁寧に理解することで他に応用するといったものが多く、この壁で苦労していました。本当は大学入試の問題も本質はそこにあるべきですが、意外とテクを覚えるものも多かったように感じます。

 大学院、というか研究はとても苦労しました。最初の方がノウハウが分からずひたすら作業に忙殺され、ボトムアップに進めていたことで苦労した話を時々しているのですが、自分の能力不足も含めてご迷惑をおかけしたり大変でした。研究に対する僕の認識として、研究はまずマネジメントとしてそのタスクやスケジュールを管理する能力が求められます。これについては学生は経験で覚えることが多く難しいと感じていますが、意外とエンジニアやマネージャーが読むような本でカバーできるかもと思い始めました。そして、新しいものを生み出すという抽象的で非定型的なタスクが存在します。分野や対象によっては既存研究を調べに調べて足りないものを探していくこともあるかもしれませんが、新しさを生み出すプロセスはとても難しいように感じます。そして、その具体的な内容についても自分より頭の良い人たちが頭をひねったものたちなので難しいです。読めば理解できても自分でこれを生み出せるような理解の仕方に至るのはとても難しい、そもそも前段の理解した気になることが難しいレベルのものも多いと感じました。ロボットの実装をして感性評価をして…みたいな話だと、実験評価のセオリーをインプットしたうえでしばらく読んでいると定石が見えてくるというか一般的にこうみたいな感覚はついてきましたし、実装に関してはアーキテクチャを見れば行けそうと思ったのですが、ロボットメインというよりは統計的学習メインのバックグラウンドで深層学習をやっている論文の本丸みたいな部分はどうしても理論・実験的感覚ともに掴みかねていたかなと今でも思っています。

 それを経て、もう研究から離れて2年以上経過しましたが、だんだんと具体的なことは忘れて印象的な出来事や抽象的なそれらの見方だけが頭に残っていく感覚があります。とはいえ、ロボットの話についてはそれが実現したい社会についても実装の詳細についても時々考えていて頭に残っているのでリハビリしたいところですが、老人の様に思考は抽象化された、洗練と呼んでよいのか分からない状態になっていきます。別に若い人でも、なんとなく聞いたデマ情報の内デマかどうかの真贋判定は忘れてその概要のみ覚えていてなんかそんな情報があったという認識になることも多いので、こればかりは常にその分野にしがみついていないと仕方ない部分かなと思います。人間はデータベースではないので…

 こういったことを考えると、人生におけるリソースを優先度の高い順に忘却曲線を意識しながら時系列に割り振っていくことになるのですが、そうなったときに一つのものにリソースを割き続けることを諦める選択が必要になると感じました。複数を同時並行でやる想定の元、昔ちょっと齧った倫理学の本とかは多分詳細な議論ができることはなく、新書を掴んではこんな議論があるのかと感心して本棚に置かれ、暫く考え込んだのちに抽象的な学びの概要だけが頭の片隅に残るのだと思います。そして、それを認められるようになってきました。

 逆に、新たな学びとして、常に学び続ける意欲は大切だと感じました。社会人になってからクラウドサービスやソフトウェアアーキテクチャについて学びましたが、こういったものを学び続けるのは楽しく、上のものを忘れつつこれらを学ぶと良さそうという感じはします。複数の分野や観点での知見を併せ持つ人のイメージというのはそれぞれ積み重ねているイメージでしたが、これをやろうとすると全てに常にしがみつく必要があり、実際多くの人にとって現実的なのはAを3覚えてBを1忘れ、Bを3覚えAを1忘れ、の繰り返し程度なのかなと思ったので、そういうペースでやっていければ良いのかなと少し気楽な気持ちになりました。そして、マネジメントだと複数の分野をまたがるとこれらの管理コストがかさむのですが、何かを習得するにあたってはそれらの関連が新しい知識を生むので結構面白いと感じました。最近は人形とロボット、その機構について考える中で特にからくりのような歯車を用いた機構に興味がありますが、それが持つ周期的な運動がどういった可動域でどんな速度の動きを生み出すかについての知識が、非周期的な運動を生み出す必要のあるロボットだけでなく、歯車によって構成されるもの、例えば時計が人形のモチーフにつながるのではないかとか、それらの機構を用いて人形で実現したい動きを再現できるのではないかとか、抽象的なレベルで繋がっていく感覚があります。

 僕が物事を解体して理解する上での方法として、設計一覧・設計書間の関連・設計詳細を意識するようにしています(設計というよりはこの世に存在する対象なのですが、その仕様が記載された人間に解釈可能なドキュメントという位置づけて設計と呼んでみます)。実際には物事は複雑に絡み合っていて木構造というよりは密なグラフ構造ですが、概形を捉えるとどんな要素があって、要素間の関係がどうで、その要素の詳細を見るともう一段具体化された一覧と関係があって…みたいな、人間が理解する上でのある程度妥当な解釈が発生すると感じています。勿論そうではないものや設計詳細の理解に時間がかかる対象もあるのですが、そういった理解の仕方を意識しています。

 これを前提とすると、設計詳細に深入りする時間と設計一覧及び設計書間の関連を意識する時間のバランスをとっていくのが人生におけるやることなのかなと思います。勿論前者は進めていく必要があって、例えばエンジニアとしては抽象的な設計や要件定義だけではなくコードを書いてライブラリの仕様も調べることは今でもしていますし、人形を作るにあたっては本当に具体的な作業、作業、作業です。先生に教えを請うたり美術解剖学の本で人体を見たり、自分の肉体を参考にしながら、それらの解釈を基に具体的な詳細に立ち入っていきます。無茶を言うと、この具体的作業が抽象的な方向に作用するので両方やるのが望ましいので、体力の続く限りは両方やろうと思います。結構細かいライブラリの仕様によってプロダクトが実現できるかどうかの判断が変わるような状況もありますので。

 そんなこんなで、人生における諦めとして物事の習得や、習得したものの保持、人生におけるリソース選択がある事を意識していけると良いと感じました。逆に、その制約で優先順位をつけると、自分が面白いと思うことにチャレンジしていきたいと思いました。世界一周したり、バンジージャンプとか肉体に作用する物事をやってみたり、美術館に行ってみたり、色々飛びついていきたいですね。

 こう考えると、最近やっと物心がついてきた感覚がします。多分死ぬ前の最後の言葉は「やっと物心がついたのう…」とかになって絶命すると思います。

 

ポートフォリオを自分で作る

できたもの

https://portfolio.yumenohadaly.net/

背景

エンジニアたるもの…と思って作りました。

要件として、細々と自己紹介や作品を載せる程度のものを想定してはいたのでポートフォリオのサービスの利用を考えたのですが、デザインは自分で決めたい(コンテンツ管理を楽にしたい!)ことや、ドメインを自分で決めたいことから、自作に至りました。ただ、お金をかけすぎるのも負担になるので節約できる構成を考えました。

仕組み

使用経験がある程度あるAzureにアプリケーションを配置する前提のもと、フロントの画面をReact.js、コンテンツ管理の為のバックエンドをC#、コンテンツをSQL DB及びStorage Accountというストレージに配置する構成をとりました。

基本的には節約を第一に据えました。まず、フロントアプリはStatic WebAppに配置することでほぼ無料でホスティングできます。静的Webサイトに限られますが、コンテンツをバックエンドから取得する方式かつコンテンツ表示に徹するシンプルなサイトなのでこれでクリアできました。また、Azure Functionsは消費プランだと月4000呼び出しまで無料、その後も呼び出しのコストはとても小さい為何とかなりました。

 問題はデータの永続化で、一年くらいAzure CosmosDBというドキュメントDBサービスの無料プランでやりくりしていたのですが、まともなデータの構造化ができないのは開発体験や保守性に影響すると考え、SQLに移行しました。アクセス数は少ないですが1~2秒以内の待機時間で画面表示されてほしいのでSQLのプランは月5.5USドル程度のものにしました。円安なのでちょっと厳しいですが、月1000円以内ならまぁ遊びで動かすサービスの保守としていいかな…という判断です。

 また、別途ドメインが年間1600円ほどかかっています。こちらはAzureでWebアプリケーション用のドメインを購入できるもので、お名前ドットコムなど外部で取得するよりもAzure内での設定ができる点などからこのソリューションを選択しました。.netドメインが一番まともに使われていてかつ安価だったので、自分の名前のドメインを確保しておきました。本当はメールアドレスのドメインにも使えると便利ですが、今はその予定もないですしそういうサービスが必要なら別途取得で良いかと思い、Webページ専用のドメインサービスになります。

フロント構成

 とりあえず、自己紹介ページ・作品一覧・イベント一覧及びコンタクトが表示できれば良いと思い、ポートフォリオのテンプレートにコンテンツ表示用のコンポーネントを自作して追加するようにしました。こちら参考にさせていただきました。作成者およびMITライセンスに感謝…

 複数コンテンツの表示に関しては、ChatGPTの力を借りつつバックエンドから取得したコンテンツをforeachで回してコンポーネントを生成する仕組みで実現しました。

github.com

バックエンド・DB構成

バックエンドはシンプルにデータベースのコンテンツを成形してフロントに返す仕様となっています。コンテンツとしては作品及びイベントです。イベントはタイトル・画像・本文等を格納するのみなのですが、作品については複数の画像を持つほか動画も載せたいという要望が顧客もとい自分から上がっていたので対応が必要でした。解決法としては、SQL DBとしては作品テーブルのIDを外部キーとして持つ作品メディアテーブルを作成し、メディアの種別を画像と動画に分けました。そして、画像はStorage Accountに配置したのですが、動画に関してはデータストアから取得したものをフロント画面に埋め込むのも難しく、コンテンツ管理に難があるのでYouTubeのURLを格納する形としました。動画コンテンツはYouTubeにアップロードしていることが多いので、これをそのまま使用するのが一番シンプルな構成となりました。

今後の展開

 ユーザー数が少ないサービスなので、一旦はこの構成で行きます。SQL DBも一人で使うにはオーバースペックなので複数人のポートフォリオのコンテンツ管理とかしてマネタイズできると嬉しいですが、その辺りのコミュニケーションや要件定義・保守コストが大きいので細々と貯金を使っていこうと思います。

 細かい部分では、イベントの日付がfrom toではなく1日だけ設定だったり、直さないといけない部分はポロポロとあるので、少しずつ良くしていこうと思います。フロント側はStatic WebAppを使っている関係で構成が特殊なので、GitHub Actionsでデプロイを自動化していて、CI/CDはパッとできるので、少しずつ良くする仕組み作りだけは済ませてあります。

  作品も細かいものを含めると結構な点数になりそうなので、ハイライトとして見せたい代表作を抜き出したり、カテゴリで人形・ロボット・小物など分けても良さそうです。

 あと、実はコンテンツ管理システムが欲しいといいつつ管理者用の管理機能が付いておらず現状SQL DB上のデータをSSMSで直接弄っているので、管理画面と対応するWeb APIのエンドポイントが必要です。実質ポートフォリオ画面が二つになりつつファイル選択などの機能も必要になり、開発コストが大きくなるのでこれはまた今度ですね…元々フロントエンド書かない人間なので、最近のライブラリの動向も追いつつ鍛えたい所存です。

 

3Dプリンターで印刷したシーリングスタンプを押してみる

 ここ最近シーリングスタンプのブームが再燃しているように思います。文房具屋さんや雑貨屋さんでセットを見かけたり、ダイソーでさえ売っているような状況で、気になってしまったので買おうと思いました。スタンプのデザインも様々で、かわいいものもありますが、自分の気に入ったデザインを選ぶというのは難しいですし、封をするという目的を考えると、やはり人とは異なるデザインを選びたくなるものです。

 というわけで自作しましょう!実は自作についてはヘアピンまみれさんが以前やられていたので、何とかなるとは思っていました。自作界隈の先駆者がいらっしゃるのはありがたいことですね…

オリジナルデザインの『シーリングスタンプ』自作ってみた!【真鍮エッチング】 - YouTube

しかし、自作界隈は本気を出すと色んな技術を扱うことが多々あり、ヘアピンまみれさんも真鍮のエッチングを用いて金属に模様を作られています。エッチング液は廃液の処理が大変だったり、単純に扱いが難しいものの為、一般家庭でとりあえずやってみる…というのは難しく、他の方法を考える必要がありました。

 ということで、模様をそのまま3Dプリントしてみよう!という試みです。まず、スタンプを押すのに使われるシーリングワックスの融点は80~120℃らしいです。そして、3Dプリンターで使われる素材の一つであるPLAは融点が200℃前後で、実際に印刷時はその前後の温度で溶かして使用されます。つまり、この間の温度であれば問題ないわけです。と言いつつ、電気コンロの上で放置しているとPLAは熱で歪むので、完全に溶けるわけでなくとも緩くなる温度はもう少し下かもしれないので注意は必要そうです。

シーリングワックスを3Dプリンターで作成した型を使ってきれいに作る方法|きさいち@工作室もくもくはりねずみ

先駆者の方がいらっしゃって基本的なことはこちらをご覧くださいで済むので、ここからは最初から最後まで自分がどうしたかを紹介していきます。特に印刷時の模様の深さ等参考にさせていただきました、感謝…

 まずはデザインです。お絵描きが苦手なので、一旦DALL・Eで画像生成ガチャをしてくまのぬいぐるみを出力しました。monochrome simple iconと指定して何回か試すと、アイコン向けの二値化されたシンプルなものが出力されました。リアル寄りの画像を出してほしくないというひねくれた要望ですが、生成されました。

こちらの画像はPNG形式で出力されるのですが、3DモデリングツールであるところのBlenderに読み込ませるには工夫が必要なため、一度SVG形式に変換してからメッシュ化、立体化する選択肢を取りました。SVGへの変換はWebサイトで公開されている方がいるので使わせていただきました。

PNG SVG 変換。オンライン フリー — Convertio

そして、SVGBlenderに読み込ませて、立体化した後に円柱に押し付ける…とやってモデルができます。

 モデルができたら印刷していきます。因みに印刷後に取っ手の必要性に気づいて瞬間接着剤で手ごろな棒をつけましたが、取り換えできる仕組みを作ると良さそうです。0.5mmのくぼみを作る必要があったので、印刷時は0.1mmの厚みで印刷しました。鼻のあたりとかかなりギリギリサイズだったので、2cmサイズのスタンプだとこの程度の精度がぎりぎりで、それ以上を求めるならエッチングか気合で彫り込む技術が必要になりそうです。

 人間は火を恐れるので、ワックスを溶かすのには電気コンロを使用しました。専用の電気炉も販売されているのですが、たまたま熱源が自宅にあったので活用することにしました。300Wと600Wの設定がありましたが、以前600Wで水分を含んだプルミエ粘土を乾かそうとしたら煤になってしまったことがあったのもあり、火事が怖いのでひとまず300Wで上から粘土を被せて熱がこもるようにしました。

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このまま10分ほど放置していたら溶け始めました。とりあえず触ろう!と思って素手で触ったら案の定とても熱く期待大だったので、この後は竹串で溶け具合を確認しました。意外とすぐ冷えて固まるので、結構ドロドロにしてもよいかもしれません。

 ついに押してみます。ワックスをシリコンの床に垂らして、上からスタンプを押し付けます。グッと押して数秒待つと冷えて固まっていくのが分かり、触っても熱くないと確信しました。そしてもう10秒ほど待ってからはがすと、綺麗に押せていました。口元は結構小さいですが綺麗にできており、溶けたワックスがきちんと隙間に入り込むことを確認しました。

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 と言っても強度を考えるともう少し太くしてあげた方が良いかもしれません。また、ワックスを注ぐ時点で冷え始めており少し溶け残りを垂らしきれなかったので、もう少し溶かしたら多めのワックスでもっときれいに作れそうです。今後の課題はありますが、比較的安全な方法で自作デザインのスタンプが押せることを確認しました。デザインも頑張りたいところですね…!

余談

DALL・Eによる画像生成ガチャは結構過酷な割にお金がかかるので、お絵描き力をつけようと思いました。

 

ぬいぐるみに習字をしてもらうための技術とマネジメント

ニコニコ超会議に参加してきました!イベント出展にてぬいぐるみに習字をしてもらったのですが、詳細はこちらをご覧ください。

godiva-frappuccino.hatenablog.com

やったこと

ぬいぐるみが、労働をします。

 いかがだったでしょうか?よくわかりませんね。

 具体的には、ぬいぐるみに習字をしてもらいました。ぬいぐるみがいきいきと働けるように場をセッティングして、通りがかった人々に喜んでもらえるよう働いてもらいました。習字の内容としては、好きな漢字を書いてもらうか、持ち物をぬいぐるみに見せるとそこから連想した漢字を一文字書いてもらうという感じでした。

 可愛いですね。字はぬいぐるみらしいふわっとした質感で味のある書きっぷりですが、普段紙に文字を書かない僕より綺麗です。前日夜に「文字だけ書いて配っても後から見返すとよく分からない…」と思い急ピッチで錬成した「ぬい労」スタンプを押して、来場者の方々にお配りしていました。人が笑顔になると嬉しい…

プロジェクト進行

全体方針

 今回、人間のメンバーが3人で僕とCNOとオブザーバー的な立ち位置の人が一人だった為、開発を僕とCNOで担当してプロダクトデザインをCNO中心で進めつつその他でレビュー、プロジェクト進行については僕がまとめることにしました。その中で意識したこととしては、自分の中では厳しめにスケジュールやプロダクトの実現可能性を判断したうえで、メンバー内では緩めに進める、でした。プロジェクトの焦りは大体見積もりの甘さか突然のトラブルによるものだと思ったのでそこを担保する必要があると考えたのですが、あくまで趣味のプロジェクトなのでそこを表面上も厳しくやってしまうと義務感が出て楽しめないかなと感じました。

 一度ウォーターフォールっぽいガントチャートを作成したのですが、一旦作業のボリューム感を出せたらそれでOKとして、結局直前までぬいぐるみ労働組合としてのビジョンのアップデートがかかる前提でいたのでアジャイルっぽく実装進めてイメージ固めつつやりたいことも話し合う、みたいな感じで進めていました。

詳細な進め方

 詳細な進め方として、会議体としても週一オンラインみたいな感じで、学生と社会人が混ざっており忙しさの質も違うので良しなに調整して進めました(社会人だと繁忙期が残業で作業しづらいとかありますが、学生は期末テストや研究室内の発表等タイミングが互いに読めなかったり土日も作業している場合があるのが難しいところですね)。本当はタスクリストとか細かく作って共有するべきかもしれないのですが、全員がプロジェクトの全体感を掴むのに脳のリソースを割くのも勿体ないなと思い、特にCNOにはぬいぐるみ労働組合のビジョンを考えてもらうことと、クライアントサイドの実装に集中してもらいたいと思い、必要なタスクリストは裏で管理していました。会議の進行は互いに進捗報告してレビュー的に話し合って、最後にToDo一覧を出すみたいな感じで進めていました。その中でToDoは毎週の作業の進捗度合いやプロダクトの方向性によって決めつつ、展示の備品周りの確認事項や申し込みのチェック等はスケジュール的にクリティカルな遅延が発生しないよう動くべきタイミングで差し込むようにしていました。

スケジュール・進捗

 スケジュール感には結構余裕がありました。というのが、1月前半でこのプロジェクトが立ち上がることになって1月末に習字をやることに決まったのですが、まずその数日後にはプロトタイプを作って習字ができることの概念実証をしていました。その際xyプロッタや後述する極座標系プロッタ等の手法を比較検討していたのですが、ともかく文字が書けることは早々に確信していました。対象を漢字に絞ればデータセットが存在することも調査していたので、ハードウェアが用意できる・制御できるプログラムが用意できる・ぬいぐるみがそれっぽく動かしているように見える、といった検証ポイントをクリアすることを最優先でやっていたので何とかなりました。そして、二月後半にオフラインでの顔合わせも兼ねてデモをやる為に大阪に赴き、習字システムのサイズ感の確認と動作イメージを持って…壊れました。サーボモータが脱調してうまく字が書けず、予備のモータを…と思ったら、前日「予備のモータを持っていこう→一応2パターンのプロトタイプを持っていくからそのモータを予備として差し替えよう→これ実現したい1パターン持っていけば良いか」といった機序で予備のモータを持っていき忘れました。その日はみんなでぬいぐるみの映画を見てカフェで食事をして解散しました。

 デモでの失敗を受けて、冗長構成を組むことやフールプルーフ、フェールセーフを心で理解した為、そもそも間違えないような機構の工夫や電気・ソフトウェア的にミスした場合でも破損しないような設計をし直しました。以前プラスマイナスを逆に繋いでしまうミスを円形のジャックに変えることでミスを無くしたことがあったのですが、今回はサーボの初期姿勢を勘違いしたままネジ留めしてしまって通電したときにありえない角度に動いて機構が干渉してトルク負荷が過剰にかかり脱調…といったミスだったので、ミスをして回転しすぎても機構が干渉しないように調整したり、通電までの手順を画一化して組み立て手順もシンプルにしたりしました。とはいえ運搬の際に毎回分解と組み立てが必要だったので、その辺りは注意して「確認ヨシ!」と絶叫することで対処しました。結局これが一番です(本当かなぁ)。

 また、今回習字システムのアルゴリズムは僕が開発、持ち物を見て漢字を選ぶアルゴリズムはCNOが開発といった流れで進めていたので、結合テストが必要でした。とはいえ地理的に数百メートル離れていて片道15000円くらいかかるので、結合テストの為に毎回30000円使うのはあほらしいと思い、極力オンラインでテストできる環境を整えました。というのが結合テストを二段階に分けて、ソフトウェア的に動くことの確認と実際のハードウェアとの接続テストに分けました。ハードウェア無しでモックとして動かせるプログラムを用意してGitHubで共有して、一段階目の結合テストを早めに実施しつつプログラムをアップデートして、その後たまたま東京で合流できるタイミングがあったので二段階目の結合テストを実施しました。その時点でソフトウェア・ハードウェア共に動作確認ができたので、その後は当日まで一段階目のテストだけ繰り返しながらアップデートをしてもらっても問題の切り分けが可能になっているので問題ないという判断で進めることができました。とはいえ当日動くかはかなり不安でしたし、実際に2台あるArduinoの片方のドライバーがインストールされておらずCOMポートが見えない問題が発生して焦りましたが…それについては、後でドライバーインストールで解決すると分かったのですが、結局電気系統の冗長構成としてもう一台持ってきた予備のArduinoが一発で認識されたのでその場で実装内容をボードに書き込んで差し替えることで解消しました。

実現可能性の見積もり

 技術的な話は後述しますが、見積もりに関してはスケジュールだけでなく実現可能性も精査していました。今回の技術的な肝となる習字システムは僕が期間内に実現させなければいけなかったのはもちろん、その前に実は出ていた食品を作るアイデアやぬいぐるみと人間による音声会話みたいなものもあり、それが実現できるか考える必要がありました。ぬいぐるみにやってほしいこととしての判断は極力CNOに任せつつ(と言いながら色々言いましたが…)、実現できるならGOを出し、難しければプロダクト的に嬉しくかつ現実的な代替案を出すといったことをしていました。例えば、今回ぬいぐるみが二人になって持ち物から想像した漢字を伝言してあげるみたいな流れになったのですが、当初はぬいぐるみは大きい子一人でやる予定でした。ただ、その場合お客さんを向いたり、漢字を想像するお題となる持ち物の方を見たりしなければいけません。しかし、これをやると100cm級のぬいぐるみをモーターで動かす必要があり、電力やトルク、ハードウェアの選定等で僕の経験の範疇を超える可能性がありGOを出せませんでした。結局、1週間くらい試した上でもう一人小さい子に頼んでその子を動かしましょうということになりました。イメージは保ちつつ、コアのアイデアを実現すればまぁいいかと思いました。

 因みにぬいぐるみを二人にする案を出したことで、少し良いことがありました。二人目のぬいぐるみはお絵描きという趣味が習字に近いということで最初パペットのジェラトーニにしようと思ったのですが、権利関係での不安が大きく、一人目と同じフモフモさんシリーズを使用することにしました。フモフモさんを使用するにあたって、パペットと異なり胴体に穴が開いていないので非侵襲でボーンを通さずに動かしたい、そしてモータを仕込むと排熱がこもるのが怖い、ということで外側にモータを配置して外から動かすようにしました。これをやると正確な姿勢制御はできなくなるのですが、大まかに左右を向く程度の制御かつ自由度が少なめで要件を満たせるのであれば有効な手法だと気づきました。プラスチックや樹脂の胴体とも違ってぬいぐるみの肌は内側が熱がこもりやすいですし、そういった代替案を出すことには価値があると思いました。実際に展示を見てくれた方の中にモータを外だししたことに注目してよいアイデアだ!と言ってくださった方もいて、結構排熱問題とかぬいぐるみ操作における侵襲性問題は喫緊の課題なのかもしれないと感じました。

技術的な話

全体アーキテクチャ

今回は習字システム及びぬい動作システムとして2つのシステムを作成し、それを統合して動かすクライアントプログラムという構成になりました。

技術的な言葉を交えて説明すると、ChatGPTを使用した漢字生成とペンプロッターによる習字及びシンプルなぬいぐるみの身体動作を実施しました。基本的にはぬい動作システムと習字システムはサーバプログラムとして動作しており、クライアントシステムがそれらを順番に呼び出すことで一連の流れができるようになっています。

 インタラクションのイメージはシーケンス図に書き起こして議論しました。イレギュラー対応を含めた詳細イメージや文言はフローチャート形式でもまとめていたのですが、基本的には以下の流れで進めています。とはいえ、シーケンス図だとシステム・アクター間のやり取りに注目されて内部的な処理が隠蔽されているので、実際何をしていたかは後述します。

システム間の接続及び備品の調達・管理の為にハードウェア間の接続を表す図の様も作っていました。習字システムやぬい動作システムはもう少し詳細な接続があるのですが、ひとまずこれらの要素があれば完結できるなという次第で記載していました。あまり厳密ではないですが登場人物と大まかな接続が分かることに価値があります。

ChatGPTによる漢字生成

 ChatCPTによる漢字生成では、CNO(チーフ・ぬいぐるみ・オフィサー)の方がGPT4with Vison及びGPT3.5を併用して画像から漢字一文字を抜き出す処理を実装しました。まず最初に持ち物を撮影したら画像をGPT4with Visionに送り、その写真の説明文を生成させます。その後、説明文から特徴的な漢字一文字をGPT3.5に生成させて、習字システムに送信しました。GPT4及びGPT3.5の使い分けをした理由としては、一度に複数の命令を送るとGPTモデルの生成の精度が落ちる点と回答生成速度を気にしたところにあります。基本的には出力トークンに凡そ比例する形で実行時間がかかるので、GPT4で生成を待つのは現実的ではありません。

 また、今回はモバイルWi-Fiルーターを使用してChatGPTに接続したのですが、デモ運用を考えると実行時間や可用性の問題でローカルでそれらを実施する案もありそうです。漢字生成についてはローカルLLMを走らせることができる他、実は画像の説明文はGPT4with Visionでなくとも今までやられてきた機械学習の手法でもそれなりの結果は出せると思います。

 他にも、画像の説明文の生成の際にスマホの写真を見せると"写真"に注目されてしまったり持ち物を持つ手が注目されて"手"に注目されてしまう等の課題があったので、GPT3.5でその判断をさせる前に説明文の生成時点でうまくやる方が良いと考えて持ち物は茶色い紙の上に置く、プロンプトで茶色い紙の上にあるものを説明してくださいと指示する、(やったか覚えてないですが)写真の場合は写真の内容を説明させるみたいな工夫もしました。その他、漢字一文字の抽出にあたってFunctions Calling、JsonModeの様な機能も活用できるとは思ったのですがあくまでstringやparameter指定のみができてセマンティックな制御はLLMのみぞ知る部分だったので、返答からgrepして最初にヒットした漢字一文字だけを抽出するようなルールベースでの制御を入れていました。

習字システム

 習字システムは一般的にペンプロッタと呼ばれるもので、モータで紙の上を自由にペンが動いて、ペンの上下によって線を引く/引かないを決定するものになります。試行錯誤段階では3つの方式を検討していました。名前はよくわからないので適当です。

 まず、x-yペンプロッタは最も一般的な手法で精度も確保できます。外側にレールを配置して動きとしても単純になるので、これをステッピングモータで動かすことで安定した動作が期待できます(実は一般的な3Dプリンタもこの方法です)。しかし、今回ネックとなったのが可動域の外側に配置されるレールで、ぬいぐるみが書いてくれるのかと思いきや大仰なハードウェアが鎮座していたらイメージを棄損します。

 そして、まず最初に作ったのが二つ目の極座標ペンプロッタで、最終的にもこの形になりました。レールが一本かつ伸びきった状態では可動域内にレールが収まる為、とても安定します。デメリットはいくつかあり、まず一番遠い箇所にレール伸ばすことを想定するとレールの長さが必要になります。例えば長さ5cmの正方形で原点の対角線上の頂点に点を打つ場合、5√2cmの長さが必要になります。これは仕方ないので、以下の様に原点位置をずらすことで回転角を少なく済ませることで影響を小さくしました。二つ目の問題はこの図でわかる通り、原点位置に点を打つのが難しい問題です。図の上の方にあるごちゃごちゃしたものがペン及びペンを上下させる仕組みなのですが、ハードウェアをコンパクトにしようと考えるとこれを原点の上で通過させるのが結構面倒になってしまい、結局ペンの周辺を極限までコンパクトにしたうえで原点から離しました。まぁぬいぐるみの腕が伸びるイメージなのでこれで問題ないという判断でした。

二つ目の問題は次のペンプロッタで顕著に出た問題ですが、原点から離れた位置ではペン先が沈み込む問題がありました。というのがx-yペンプロッタでは左右のレールでペンの高さが精密に制御できるのですが、コンパクトにまとめたこの仕組みではペン先を原点位置のみで支える為、レールを伸ばせば伸ばすほど沈み込みます。一応原点での支えの長さをある程度確保したり隙間を減らしたのですが、これに関しては金属製で隙間0.1mm以下のような精度で作らないと限界があります。今回はPLAフィラメントで部品を印刷したのでそこまで精度を求められず諦めたのですが、実際デモ中にペン先が浮いてしまう問題があり、難儀しました。コンパクトな機体を求める為にペン先のサーボのトルクが結構ギリギリで、可動域をあまり確保できていなかった為、ペンの上下が数ミリ程度、ペン先の自重による沈み込みが1mm程度でもペンが浮いてしまうようなオーダーとなっていました(本当は直動機構に変換すればこの辺りの問題は解消していたのですが、コンパクトに納められず断念しました、設計力…)。

三つ目の問題として、レールを伸ばすと分解能が落ちる問題がありました。まず、モータで制御できる値はレールの長さrと回転角Θです。x-yペンプロッタの場合は横のxと縦のyを動かすだけなのでどこに点を打っても均等な分解能なのですが、極座標ではそうはいきませんでした。レールが短い場合と長い場合での比較なのですが、左図のレールが長い場合に一定角Θ回転させると赤矢印の分だけ動きます。そして、右図のレールが短い場合は赤矢印が短いと思うのですが、回転角は同じです。これによって起こる問題として、単純に細かい字が書きづらいという問題も起こってくるのですが、モータを複数動かす場合は完全非同期ではない場合、ちょっとレールを伸ばして回転させて、ちょっとレールを伸ばして回転させて…のような動きの繰り返しになります。これを細かく繰り返すのですが、レールが長い場合にはこのちょっとの動きで大きく線が引かれてしまうのでヨレヨレになります。これに関してはステッピングモータで頑張れば現実的には影響を少なくできるのですが、ハードウェアの運搬での分解組み立てやメンテナンス、制御面もあり細かい角度調整に限界のあるサーボモータを使用したことやレールの長さを変える為のギアのクリアランスを大きめにしていたことなどが原因で、技術的には解消できずぬいぐるみの字の味として許容するに至りました。

 三つ目の2自由度リンクペンプロッタは本当にシンプルにリンク機構となります。デメリットと呼ぶか悩んだ点として計算が少し面倒なのですが、座標の計算に逆運動学の計算をします。これを細かくやると計算が煩雑になるので微妙だったのですがとりあえず書いてみました。高校生ぶりにメネラウスの定理とか出てきたうひょー!とか思いつつ、図に起こしてPython及びArduino実装をやって、とりあえず動くようになりました。

ただやはり問題はペン先の沈み込みで、こちらの機構だと原点に2つモータを配置してそれが固定されているだけで、各リンクにも重みがあるのでかなり沈み込みます。ただこれをやるとかなり精度に影響も出そうと思い、その他設計面でも面倒な部分があったので断念…といった形になりました。

漢字を書くための制御

漢字を書くためには、与えられた漢字からペンプロッタの座標の配列に変換する必要があります。最初これを画像処理でやる案も考えたのですが、以前細線化処理の実装をした際に結構難しいと理解したことやその後の書き順への変換が難しいと感じて、まずサーベイ…ということで漢字のSVGファイルをまとめてくださっているKanjiVGというプロジェクトに出会い、これのデータを活用することとしました。

The Kanji Vector Graphics (KanjiVG) project - KanjiVG

今プライベートリポジトリで管理している習字システムのライセンスにはCC BY SAライセンスに則ってGitHubリポジトリにもライセンス記載していますが、一旦データのみ使用する形で実装しています。SVGファイルのファイル名が漢字のコードなんですね(今回の件で漢字コードに少し詳しくなりました…)

漢字のSVGがかなり面白かったので紹介します。例えば以下のファイルは漢字"零"(uf9be)の中身ですが、プリミティブないくつかの線の組み合わせをTree構造として持つことで構成しています。零は雨と令をtopとbottomに持ち、更に雨は一と|とその他を持ち…といった次第です。見てもらうと分かる通り直線での表現で細かくは表現されていないので、ちょっと不思議なフォントになります。例えばしんにょうもカクカクになったり。因みに二つ隣のブースでx-yペンプロッタを展示されている方とお話したのですが、そちらではフォントデータからパスを抜き出したらしく、なるほどな~と思いました。そちらではフリーハンドで書いた線を書く機能も実装しており、かなり理想的な実装だと思いました。まぁ僕は思い付きでペンプロッタを作ることになったので、精進ですね。

因みに、結合テストの関係もあり簡易的なViewerを作成しました。基本的にはSVGの各直線の始点及び終点のセットを制御PCで計算して、それをArduinoと画像表示用のサーバにそれぞれ送信する流れで実装しました。Arduinoでは、直線を綺麗に書くために直線を細かい線分に分割しちょっとずつ書き進めるような処理だけ記載しています。

ぬい動作システム

ぬいぐるみの動作の為のハードウェアについては、よくあるパペットにモータを仕込む方式モータの排熱の問題とぬいぐるみに穴を開けたくない思想の問題を考慮して設計しました。とりあえず商品の写真から気合でモデルを錬成…しましたが、結局サイズ感が微妙に異なる問題やお腹がふっくらしていた等の課題があり実物を見て作り直しました。

ぬいぐるみを動かすにあたって、必要だったのは左右を振り向くことともう一人のぬいぐるみもしくはお客さんを見る為の上下の動きが必要でした(結局お客さんを見る動作は無くなったのですが、持ち物を見るかもう一人のぬいぐるみを見るかで上下の動きは必要でした)。自由度が少ない!と思い、シンプルに外側からモータで引っ張る形の構成にしました。ブースに来てくださった方がモータを外だしするアイデアは面白い!と芯を食った誉め言葉をくださったので分かる人には分かるもんだなぁと思いました。ただ、首3自由度とか精密な角度制御みたいなことをやろうと思うとぬいぐるみのふわふわした体ではそもそも難しかったり、外側が大仰になるのは操り人形の紐の先に人間がいるようなもので根本的な問題なので、やはりユースケースを選ぶものかなと思いました。逆にユースケースによっては友好なので是非ご参考にしていただければと思います。

その他の工夫・冗長化

まず、今回は習字をするにあたって、制御にはノートPCとArduinoとサーボドライバーであるPCA9685を使用しました。本来はラズパイなどで直にPCA9685に命令を送ってしまった方が良いのですが、以前からの学びで故障時の影響を小さくしたいという思想でArduinoと制御PCを分けることにしています。ラズパイはOSが乗っている分高価になりがちですが、これを焼いてしまったり破損した場合のリスクは大きいと感じています。ただ、Arduinoと制御PCでのシリアル通信が結構遅く遅延時間もばらばらなので、そういったケースを考慮するとシリアル通信抜きに送信できる必要があります。それを考えると制御PCとラズピコをEthernet等で有線接続してそこからPCA9685に接続かなぁとか考えてましたが、今回は拘束に習字しても逆に違和感が出るので一旦そのままとしました。(制御PC側でAckの受け取りでWaitしてるのが遅いと感じたので、Waitせず命令送り続けられるような方式を考えればよいかもしれません)
 また、展示にあたっては冗長性が重要と考えました。電子工作あるあるとして疲労や電気的な事故による破損はつきものらしいですし、今回は僕の中では初めての技術系でのイベント出展だったので用意をしました。ハードウェア構成を見て、今回はトルクは小さいので3Dプリント部品が物理的に壊れる心配はないと見て一系統で心配な部品のみ密度高めに印刷するようにしました。と言っても力がかかると積層方向的に不安な部分を別パーツに分けてネジ留めにすることで折れることを避けたり、数ミリ厚くするなどのあがきはしました。結果的に残ったのが、Arduinoサーボモータといった電気系の部品の予備と、制御PCや電源タップ等の持参忘れのリスクがある部品としました。CNOに制御PCは任せていたのですが、やはり万が一ということで僕もソースコードをもらったうえでクソデカゲーミングノートを持参していつでも差し替えられるようにはしていました。結果的に、2日間まるまる動き続けてくれて自分の設計に感謝…!という感じではあったのですが、僕のPCでは問題なく動作していたArduinoがCNOのPCでは認識されず、予備のものと差し替える必要があったので冗長構成にも感謝しました、結局ドライバーが入ってなかっただけだったのですが、後からそれを調べて判明したので、Arduino内での種類もそろえた方が良いな~とか最終的な結合テストが本番当日は危ないな~みたいな色んな気持ちになっていました。まぁ動いたのでヨシ!

お金の話

 イベントに出るということは、お金がかかるものなので気になりますよね。同人誌を売って印刷費が100万円かかって売り上げが140万円になったので差額の40万円を東京大学胃がんを研究している機関に寄付したみたいな話もありますし、実際にイベントに出展する場合どんなかんじなんだろう?とイメージできる参考程度の情報を載せてみます。

 以前寿司にマイクロビキニを着せて本を売った時に収支報告を出したのですが、今回は展示物が技術的なものでハードウェア代もかかっているので、出していきます。因みにコミティアでは印刷費9000円程度を売り上げでペイしてポスター代・交通費・当日買った本・決起会及び打ち上げの寿司代で3~40000円程度マイナスになりました。決起会の寿司代が11000円だった時点でマイナスでした。

 それでは、まず収入です。

 以上です。展示を見せて書いた習字の紙を配っただけなので一円もいただいていませんね。

 次に支出です。ハードウェア以外の経費としては、幕張メッセが千葉にある為、東京・神奈川からの交通費で4~5000円、ホテルも少し離れた場所で取って9000円、大阪でメンバーとの顔合わせも含めた打合せをした際に交通費で30000円、飲み会で5000円、その次の日に友人と食べた寿司6000円等結構マイナスになっています。当日の出展費用は1スペース2日間で20000円(但し負担額は参加者で割るので個人負担は少なめです)、飲み会で5000円、結構色んなブースで本を買ったりアクリルキーホルダーを買ったりして10000円以上使っていたことに気づいたり、まぁ人間すべからくイベントではお金を使いがちという面があるのでそういった支出もありました。ここまでで8万円くらい使っている気がします。

 技術的には、元から所持しているハードウェアを流用したので実費かかっていないというか減価償却的にそこまでかかっていない部分が多いです。ただ、一旦元々の金額を出したうえで冗長構成を組むための予備部品の金額などで出していってみます。

 サーボモーター(SG92R x6, MG996R x7)10000円くらい、Arduino x3購入当時の値段で4000円くらい、3Dプリントした本体が試行錯誤でかなり量を消費したので3~4kgで10000円くらい、その他サーボドライバー、USBケーブルやACアダプタなどで4~5000円くらいになります。その他には他メンバーの用意でWebカメラや三脚などがシステムとしてあり、他にも筆ペンや紙、朱肉等細かい備品がありました。大体30000円くらい使ってないですか…?

 というわけで負担額11万円程度になった気がします。ただ金を払って人と無生物を笑顔にしただけのイベントだったのかもしれません。

終わりに

 イベントへの出展は以前本で出したことがあったのですが、今回は技術面ではかなり不安も多く新鮮なことが多かったです。特に、本であれば現物と什器、ポスターやレジ系の備品等売る為の一般的な設備で一通り揃うのですが、機械系を動かすとなると備品だけでもメンテナンスや故障時の代替部品、電源系統などで大量になり、デモを動かす為の手順や事前準備も煩雑になる難しさがあると感じました。ただ、それに対して適切な技術やスケジュール・プロダクトの方向性の管理を行うか気合で何とかすれば解決できるというのは大きな学びでした。今後もこういうイベントに参加できたらと思うので

 直近だと秋ごろ(9~11月の間?)で人形の教室展があるのと、12/6~8にデザフェスギャラリーで個展予定なので、今回の学びを活かして進めていきます!ありがとうございました。

ぬいぐるみ労働組合活動報告 ニコニコ超会議に参加してきました

やったこと

ぬいぐるみが、労働をします。

 いかがだったでしょうか?よくわかりませんね。

 具体的には、ぬいぐるみに習字をしてもらいました。ぬいぐるみがいきいきと働けるように場をセッティングして、通りがかった人々に喜んでもらえるよう働いてもらいました。習字の内容としては、好きな漢字を書いてもらうか、持ち物をぬいぐるみに見せるとそこから連想した漢字を一文字書いてもらうという感じでした。

 可愛いですね。字はぬいぐるみらしいふわっとした質感で味のある書きっぷりですが、普段紙に文字を書かない僕より綺麗です。前日夜に「文字だけ書いて配っても後から見返すとよく分からない…」と思い急ピッチで錬成した「ぬい労」スタンプを押して、来場者の方々にお配りしていました。人が笑顔になると嬉しい…

経緯

今年の1月初めに知り合いの研究者の方がやりたい研究についてまとめていて、それを見て「何か面白いことやりましょう~」とお声がけさせていただいたのが始まりです。大人の何か面白いことやりましょうは基本的に面白くないのがセオリーですが、面白いことをやりたいのでそういうお声がけをしました。その直後にオンラインでお話したのですが、以前少しだけ関わっていた方に話に参加していただいて何をするか議論して、ぬいぐるみが働いたら嬉しんじゃないか…ということでイベントに出すことにしました。ニコニコ超会議に出すことになったのは成り行きで、クリエイタークロスというブース出展で技術部部門があったから出してみよう!という感じでした。因みにその三人目のメンバーがぬいぐるみ有識者(今後CNO:チーフ・ぬいぐるみ・オフィサーとします)であり、僕も4年ほどぬいぐるみと暮らしていて無生物が生き生きしているとうれしい!と思っていたので、やっぱりぬいぐるみにいきいきしてもらいたいなということで結成されました。

 その後実際にどんな労働をしてもらうか考えて、習字になり、習字する為のシステムを作ってデモして、デモ機体を破壊して…当日になっていました。因みに、ポスターに書いたような活動目的に至るまでには時間がかかっていて、結構やることをアップデートしながらブラッシュアップしていました。全員ロボット研究に対する見識はある程度深いので人間・ロボット・ぬいぐるみ…辺りの差異を考えていたのですが、ロボットは命令に従って動くけれどぬいぐるみは人の想像力に従って動く、という解釈がしっくりきてポスターの通りになりました。

 個人的には以下のイメージを持っています。左図については、軸名は覚えてないのですがヒューマン・エージェント・インタラクションの文脈で期待値ギャップなどを表す際に使用される図で、それに対してぬいぐるみは想像がカギなのではないかなと考えています。動かないことは分かっていても、意思があったら嬉しいからそう思うみたいな。因みに、人形に関してもそういう面があるのかなと思っています。

 というわけで、当日を迎えました。

当日の雰囲気

 初めてのニコニコ超会議だったのですが、雑多なオタクという印象でした。企業ブースやニコニコ公式コンテンツがある一方で、ユーザー出展者としては僕が参加した技術部以外にも配信者やゲーム、東方、ボカロなどの括りで色んなジャンルの方々が混ざっていました。知名度を上げる為に参加される方や商品販売をされる方もいて、僕は無生物が生き生きとしていると嬉しいのと人々を笑顔にしたいという気持ちでただお金を払って色んな存在を笑顔にするだけの人になっていました。

 小っちゃい神社があったり、技術系の島や東方の島があったり…

 

 

 イベントへのマッチ具合は正直よくわかりません。今回のコンセプトが元々ニッチだったこともあるのですが、技術に詳しい人もそれなりにいるし、ニコニコ的コンテンツにのみ興味がある人もいるし、というところでコンセプトがハマってみてくれる人の濃度は薄めだった気がしています。とはいえ、アイデアから入った今回の出展がニコニコっぽいと言ってくださる方もいたので、まぁ良かったのではないかと思います。今度メーカーフェアの様な技術寄りの展示会に出しても良いかなと思いましたが、少なくとも技術部の周辺ブースの方とは少しお話させていただいただけでも結構細かい話で盛り上がったりしたので、伝わる人には伝わるくらいを目標にすればかなり楽しめるなと思いました。低年齢層の方々も興味を持ってくださったり、昔技術的には近いことをやってニコニコ動画に投稿されていた方もいたり結構刺激を受けました。

 あとは、以前からネットで存在を知っていた方々を見かけたり、面白いブースを見られたのも面白かったです。下着だけを斬る刀の展示や指を型取りするワークショップ、いろんなマニアの集まったブース、ひろゆきホリエモン等々…丁度隣のブースが下着を斬り続けていたので、一生分落下する下着を2日間で見てお腹いっぱいになりました、ありがとうございました。また、今回使用したぬいぐるみはフモフモさんシリーズなのですが、フモラーのアンバサダーの方がたまたま見かけてくださってこれは大ごとだ!!とツイートしてくださったり、そういった出会いもありました。僕は10年くらい前のアニメ・東方・ボカロコンテンツが好きで最近はあまり追えてない人間なので最近のコンテンツに疎くて心配だな~と思っていたのですが、それらは置いておいてやはり雑多にいろんなものが混ざっていたのが良いと思いました。そこらじゅうで歌ったり踊ったり好き勝手やってる雰囲気が良かったです(真裏のブースでホリエモンが講演しているのを聴きながらお昼ご飯を食べたりしていました)。今回写真を全然撮ってなかったのですが、10年前のコンテンツが好きな人間としては東方・ボカロやまどマギなどおじさんの世代のコスプレされている方が結構いたり懐かしの曲が流れてきたのは結構嬉しかったです。懐かしさを感じる…

 ひとりのこさず主人公という文言、そこかしこで好き勝手歌ったり自由にやっている感じを見て割とその文言に向き合っている感じがしてよかったです。

設営の時の巨大な空間が静かな雰囲気が結構好きです。都合もあり搬出最後までいられませんでしたが、多分運営の方の撤収のタイミングとかとても気持ち良いと思います。

これは2日間の仕事を終えた無生物たち。結局120枚以上漢字を書いていたので、本当にお疲れさまでした。

 

終わりに

 無生物が生き生きしていると嬉しい!

 メンバー(ぬいぐるみ含む)、ブースに来てくださった方々、周辺ブースの方々、運営の方々、かわうそ、くま、その他無生物の皆さんありがとうございました。

 

技術やマネジメントの話は長くなるので別にまとめました。長くなるなぁと思ったら1万字を越えていますね、数か月しかやってない割に色んな思想が盛り込まれました。

是非こちらもご覧ください!↓

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そこに寿司があるから寿司を食べる

 寿司を求めて三千里、寿司を食べる人生の過程です。いいかい学生さん、いつでも寿司をな、いつでも寿司を食べられるようになる頃には脂っこいものを受け付けなくなるから若いうちに食べた方が良い。実際には温暖化や環境の変化の影響で生物多様性にも影響が出ている昨今において、食べられるものを食べられるうちに食べるというのは自分の肉体としても環境としても重要になりつつあるように感じます。食べる為に若い魚を無理に採らない、外来種を増やさないといった活動も最近はウォッチするようになり、かなり直接的に生物の保全の重要性を認識するようになりました。サステナブルな寿司。

 さて、皆さんは魚の市場に行ったことはありますでしょうか。私は以前博多と大阪の市場に行ったことがあります。といっても競りをやるような現場に部外者が立ち入るのは迷惑ですしそういった様子を見たわけではないのですが、漁獲された新鮮な魚を食べられるのが市場の良いところです。舌が肥えた人も多いため、下手な寿司は出せないのではないかと思います。

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 というわけで、神戸の深江にある市場に行ってきました。ふさ鮨というテレビでも紹介されている有名店でして、気になっていってみました。神戸には三宮の更に西の方に市場があったのですが、深江は三宮から少し東に行った方面にある市場で、以外にも魚介系の店は少なく、カフェや地元の方が立ち寄るようなお菓子屋さんなどが目立つ印象でした。

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 9時オープンということでしたが10時前につき、丁度一組待ちくらいの状態で並びました。カウンターに通されてからはしばらく待つ必要があり、板前さんが一人でネタを切ったり握る様子を目の前で眺めながらお茶を啜っていました。ふさ鮨ではいくつかの握りのセットがあり、今回は特上握りセットを頼みました。

 でかぁぁぁあい!!説明不要!!!!!

 いくらがこぼれすぎて海苔が見えないのもそうですが、ブリやハマチ等のネタが大きく、食べやすくするためにネタもシャリも包丁で半分に切られています。実質2貫ずつ乗っているようなボリュームの一皿と貝汁です。食べてみると、シャリの甘さを強めに感じます。実際に板前さんに伺いましたが、シャリは結構甘めにつけているとのことで、シャリ単体で食べるお子さんもいるそうです。えんどう寿司でも感じましたが、江戸時代の昔の寿司の様にハイカロリーなシャリによって血糖値が上がって気絶してしまうのではないかと思いました。そしてネタもしっかりと歯ごたえがあり分厚く、強いシャリに負けない強さを持っていました。ガリも甘くつけており、ガリを食べ終えたところでお代わりが必要か聞かれたので折角なので食べました。ネタが無くてもお腹がいっぱいになる。前日の夜23時くらいまで寿司を食べていたのでその影響もありますが、後半はかなりお腹いっぱい…といった感じで、緩やかに血糖値を上げつつ食べる必要も感じました。

 店の中には常連さんも多く板前さんと会話している様子が聞こえたのですが、遠方から来られる方や宿の朝食を食べずに朝食として食べに来られる方もいる等、皆寿司への思いを感じました。寿司に生きる人々を感じることができて嬉しかったです。

 因みに全日の夜は三宮の夜の街でキャッチを避けながら寿司やを探して知らない寿司屋に入りました。22時過ぎということで寿司屋も結構閉まりつつあったのですが、貯蓄との相談で食べられそうなカウンターの店に入りました。

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 とりあえずの初手獺祭、最近日本酒の味が分かってきたのですが、味の強い酒ばかり頼まず寿司と衝突しないよう日本酒選びをすることも大切、と後から反省しました…

 お任せ握り8貫、小ぶりなシャリに巻き付くようなネタ、そして卵焼きが普段のものと異なる様相で興味深く感じました。なによこの海苔…ほとんど紐じゃない!!(マイクロビキニ寿司の源流の可能性があります)

 くらげポン酢や鰻肝串といった一風変わったメニューもあり、チェーンとの違いを感じました。個人的に気になった鮪の脳天(希少部位のツノトロですね)と、”あて”という文字が気になり、煮ガキのあてを頼みました。本当は寿司で頼もうとしたのですが煮ガキを頼んだらあてですね~と言われたので折角なので修正せずそのまま待ちました。あて、酒のつまみになるような調整として味濃いめに付けてあってワサビと合わせるとさらにおいしかったです。そして、メニューにもあったのですが芽ネギが乗っかっていたのが印象的でした。更にその前日寿司屋で芽ネギを見つけて珍しいと思い食べていたのですが、良いチョイスだと感じました。因みに、たまに見かけるバイ貝のうま煮が気になったのですが売り切れということで、どこかで食べてみたいと思います。興味を引く少し珍しいメニューを見ると盛り上がりますね。この時点で酒のちゃんぽんで5,6杯飲んでいたのでとりあえず面白ければ頼んでも良いかなという気持ちになっていました。

 夜も深くなってきており、それはそうと2日間ひたすら作業しておりスケジュールのリカバリの為に夜もホテルで作業…みたいな感じで体力的な限界を感じていたので、最後に温かいものを飲んで〆ることにしました。のどぐろのあら汁等があって気になったのですが、すっぽんの土瓶蒸しがありました。土瓶で蒸す…!?

 土瓶が出てきました。その場で食べ方を調べたのですが、上に乗っかっている御猪口にお汁を注いで香りを楽しみながら飲む、そしてカボス等が添えられている場合は味偏して暫く楽しむ、という感じで飲み進めるようです。中にあるすっぽんの肉は出汁用の場合もあるようですがこちらでは肉も食べて良いとのことで、ちまちま食べていたら途中で店員さんからも食べていいですよと言っていただきました。

 出汁は不思議な味、強めの味わいはあるのですが温かくて優しさもある、後コラーゲンを感じる風味でした。肉は少し硬い身の部分と皮に近いプルプルの肉とあり、出汁が本丸ではありますがそちらもおいしくいただきました。最後に土瓶を傷つけないよう蓋を戻し、お会計。そういえば、メイドインアビスではボンドルドが子供の必要最低限の肉体のみを箱詰めして上昇負荷を肩代わりさせる装置としていましたが、土瓶蒸しも必要な部位のみを土瓶に入れて蒸して、御猪口に注がれる出汁を楽しむのは親子丼の概念のような度し難さを感じました。料理とはそういうものですが、感謝の気持ちは忘れずにいたいですね…

 

 というわけで、寿司を食べてきました。様々なネタやシャリ、ツマ等へのこだわりを感じたと共に、それらを守っていく人々にも思いをはせていました。人類、そして生物に感謝…

近況:multi threading

 気づいたら4月になっていました。春ですね。

 昨年は一年間人形を作っていたら人間性が無くなってきたので、今年は人間性を取り戻そうと思い、外出、人間との交流、労働など人間らしい活動をしていました*1。…と思っていたら人間性を失っていました。

 昨年一年間Project Beyond Eveとして人間を超越するぞ!と思い等身大のトルソーを作りカメラを繋いでヘッドマウントディスプレイを被りトルソーに憑依するシステムを作っていましたが、これを展示としてどこかに出したいと思い、デザインフェスタギャラリーの申し込みをしました。12月の予定なのでまだ先ですが、3ヶ月くらい前になったらDMの配布や告知ツイートなど進めていきますので、是非よろしくお願いします。

 

godiva-frappuccino.hatenablog.com

 個展をやるにあたって、作品は一つでも成り立つということで一体で行こうと思いましたが、流石に寂しいかなというかそれに見合うだけのバックグラウンドを用意できないと思い、三体つれていくことにしました。一体でも制作過程で80pくらいの冊子になる程度の書くべきものはあったのですが、コンセプトを雄弁に語りすぎる展示はつまらないかな、と。何も説明できない展示はかなり解釈が難しくて大変ですが、それでも三体くらいはいた方が説明なしに解釈しやすいのかなと思いました。

 一体目のトルソーについては、造形は一通り終わりましたが内部の機構を再検討したり、プログラムの改修やカメラ周りのハードの再選定プロセスを挟むので9月くらいからはその辺りの詰めに時間を使わないといけないな~と思っています。リミット9月であと二体人形を作ると考えると結構時間がないですね…

 二体目、100cm程のオーソドックスな人形を作ろうとしています。中に仕込む機構はここには書きませんが、シンプルなものでコンセプトに合わせたものを作成しています。この子の造形を進めていこうと思った矢先、人形教室に通うことになりました。というのも、造形物の展示が初めてなもので展示の経験のある知り合いに話を伺っていたのですが、折角なので教室見学にと誘われて見学(といいつつ4時間がっつり作業)をさせていただいて、造形は教わった方が良いと感じたのがきっかけです。月2回通う形で一か月程経過しましたが、胴体と片脚の造形が見違えるように良くなって、あと寿命が縮まった感じがします。

 三体目、これはレリーフに近いものを作ろうとしていて、機構的に少し複雑なものを考えているのでいよいよ9月に間に合うのか疑問ですね。命を燃やそうと思います。

 そんなこんなで今年も人形を作りながら人間性を失っていく日々…と思っていたのですが、今年初めに何か面白いことでもやりましょうということで別の企画が進んでいます。無生物がいきいきしていると嬉しいので、ぬいぐるみにいきいきと働いてもらいたいと思って4月末に参加するイベントでぬいぐるみにいきいきと働いてもらいます。これの準備としてちょっとしたシステム*2を作る必要があり、2ヶ月くらいずっと3Dモデリングやソフトウェアの実装などを進めていて、人形も作るしぬいぐるみにはたらいてもらうためのシステムも作るし、それはそれとして世を忍ぶ仮の姿でのお仕事も割と責任のある役割になりすべてが大変になってきました。

 ひとまず4月末のイベントが終わったら少しゆっくりしつつ三体目の子の設計・モデリング作業に着手していく予定なので今年はもう休める気がしませんが、為すべきことを為している時の苦しさは何も為していない苦しさより幾分マシなので消去法で為すべきことを為すしかないことに気づいたので、やっていきましょう。

 それはそれとしてお洒落して茶をしばいたり寿司を求めたりする会はやっていきたいので、進捗を生む息抜きとして人々を誘っていきたいですし、お誘いがあれば可能な限り行きます。人間らしさを失うと自らが眼球とキーボードに接続された手と痛む頭のみで構成される感覚になり、打鍵を繰り返していく内に指の筋肉を利用して骨と皮をたたきつけている自覚が生じるようになります。そしてカーテンを開けることもなく日々が過ぎていき、毎日12時間ほど机にしがみついてパソコンをカタカタしたり粘土を捏ねる生活が続いていきます。キエーッッ!!

 

*1:労働は非人間的活動という説もあります

*2:xyペンプロッタの変形判として、rΘペンプロッタとでも呼びましょうか、特殊な形状なのであまり類似した製品を見つけられませんでした