人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

人形になった

人形になるぞ!

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人形になった

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 何とかここまでたどり着きました。製作の過程や手法については他の記事に記載しているので、是非ご覧ください。

 そして、デモ動画を公開するに至ったのですが、来年は展示を考えています。それにあたって、いくつか課題が残っているため、来年の前半はその課題の解消をし、来年中頃か後半にどこかでひっそりとこの子を公開し、皆さん自身が人形になる、他者になることで自分を乗り越えられたらと思います。

今後の作業

 今後の作業をまとめていきます。実はまだ製作過程であり、下地塗装をして表面を補強した後に、実際に胴体の色を付けていきます。そして、頭部を開けた状態のままですが、これを閉じるかどうか悩んでおり、閉じる場合についてはウィッグを被せてあげたいと思っています。しかし、頭が一般的な人間よりも少し大きく、実際に自分が使用していたウィッグが入りきらないサイズであったので、その対応を考える必要があります。坊主のままでも美しいとは思うので、悩み中です。

 デモは撮影できたのですが、展示に向けていくつか課題があります。まず、トルクの問題で頭部が一定以上の角度になると動いてくれなくなります。これについてはよりトルクの強いサーボモータの採用を検討しており、実際に購入して試していたものもあるのですが、可動域が既存のものと異なるなど制御の方で少し工夫が必要になりそうだったため、後回しにしていました。

 そして、制御用PCからサーボモータへの命令の転送が本来5fpsまたは10fpsで送られる想定が詰まってしまいガクついた動きになる問題があります。HMDと制御用PCの通信の問題を考えたのですが、制御用PC内部で姿勢の値を生成した場合にも発生するため、既存のハード構成及びプログラムに問題がありそうです。この辺りはハードウェアを含めたデバッグを行う必要があり、少し時間がかかりそうです。

 加えて、映像周りの問題があります。今現在480x480pxの映像を10fpsほどでUDPを用いてHMDに転送しているのですが、画質が低く、視界を再現するには難があるものになっています。完全に視界を再現するような解像度ではないので意外と酔わないのが救いです。因みにHMD側でスクリーンレコーディングを走らせていたらUnityアプリケーションと合わせてパフォーマンスが極端に悪くなり一度プログラムが落ちてしまったので、結構負荷をかけてしまっているようです。

 カメラについては眼球に埋め込む仕組みを確立したのですが、そのカメラというのが意外と高価かつAmazon評価2.5程度の代物ばかりで長時間起動が難しそうな気がしているので、もっと安定したWebカメラを頭部に固定することを検討しています。AliExpressで同じものを売っていたので、そういった代物です。眼球に埋め込むのとでは物体の距離が近い場合に視線がずれてしまうのが難しいですが、代替案としてはありかなと思っています。それか、大量にカメラを買い込んで破産するのもアリですね。

 だいぶ頭が痛くなってきますが、見たい!と言ってくださる方もいるので、やっていきましょう。できるかどうかわからないことでも、試行錯誤して、着実に前に進んでいくしかないですね。

展示の話

 ノープランです。会場でデモ動画を映しておくことはできるのですが、動かすとなるとどうしても僕が在廊している必要があり、自動で動かすならともかくHMDを被って体験するとなるとソフトウェアのセッティングも結構時間がかかるので、どこかの土日に有給休暇を加えて3日か、それに搬入/搬出もやっていく形で場所を探すことになるかと思います。都内に運べるのだろうか…と心配になってきました。

 そして、サーボモータの話もありましたが、壊れたら一巻の終わりです。ハードウェアに関しても安いものや3Dプリント品については予備の部品を調達しておけるのですが、制御用PC自体は替えが効きませんし、ソフトウェアのバグはその場で解消することができません。ネットワークも長時間起動で詰まる懸念があり、環境に対応する必要があったり、難しそうです。展示のサブタイトルに「壊れたら終わり!」と書いて壊れたらデモ動画と壊れた人形を展示する形になりそうなので、尚更ギャラリー探しが難しく、いっそレンタルスペースを借りて設営してしまうかという算段も脳裏をよぎるくらいなので、どうなるかはお楽しみです。考える側はつらく厳しい気持ちです。

 そんな感じでも面白がって置かせていただける方がいればぜひ相談させてください。

終わりに

 なんだかんだで本日分の記事でアドベントカレンダーを25日分書ききりました。アドベントカレンダーとしての感想とかアドベントカレンダー記事のリンク先一覧は後程まとめていきますが、ひとまず走り切れてよかったです。途中インフルエンザにかかって4日分の原稿のストックをすべて消費したり、途中で下地塗装をMVPから外してデモ動画では塗装前の状態で撮影をしたり、この一年間どころか一か月の中でもかなり想定外の事態が起こりました。そういった中で進められたのは、僕が尊敬する愚地独歩氏の「俺の空手は後退のネジを外してるんだよ、、」という台詞です。背水の陣を敷き、前に進むしかない状況で如何に藻掻くかが大事なのだと思います。

 一旦MVPの要素を作り切り、アドベントカレンダー最終日のデモ動画撮影というチェックポイントが終わったことに安心しきっており…ということはなく、展示に向けてまだまだやることがあり、といった感じで来年もゆっくりできなさそうですが、これができると面白そうなのでやっていきます。本当は人体を理解して造形を深めたい気持ちや、もっと気軽に人形を作りたい気持ちもあるので、それはそれで並行してやっていこうと思います。一人をずっと作っていると疲れちゃうんですよね、人形制作の気分転換に人形制作をやっていきましょう。

 最後に、改めてお疲れさまでした。