人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

人形に5自由度の機構を仕込もうとしていた時の話

人形になるぞ!

godiva-frappuccino.hatenablog.com

 ということで人形に機構を仕込み動かす試みを約一年間行ってきましたが、半年ほどたった七月にすべてをやり直しています。

 最終的な形としては首だけ動かす形で、そして3Dプリンタによる印刷物を造形用の型にしていたのですが、最初は上半身を動かしつつ表面のテクスチャ以外を3Dプリントする方針で進めていました。

 初期目標は結構高く、人形が完全に自律しているように見せるために、制御用のPCからバッテリーまで胴体に内蔵する想定でした。バッテリーは腹部~下腹部に、制御用PCは心臓部にといった感じで少し拘っていました。しかし、課題が二つありました。

 一つ目が、サーボモータの安定性の問題でした。例えば胸から上を10°、頭部を15°前方に傾けると、全体としては頭部が25°前方に傾く形になります。頭部を支えるためのモータは首から張り出す形になる為、ここにかかる負荷が大きく、トルクが不十分かつ頭部が揺れてしまいます。この問題が中々解決できず、制御するのが大変だったため、改良の必要性を、もしくは目標の下方修正を迫られました。

 二つ目がPLAフィラメントの耐熱性でした。3Dプリントした胴体及び機構の表面に粘土を巻いていたのですが、フィラメントは約200℃に熱したノズルから溶けた状態で出てきて冷めると固くなるものです。粘土を乾かすときは電気コンロで300Wほどでねっするのですが、これがフィラメントが溶ける温度を越えて、歪んでしまうことが問題になりました。具体的には、素体となるフィラメントと粘土造形の間にゆがみで隙間ができてしまい、特に瞼の様な粘土を薄く貼るところは強度が保てなかったり、ミリ単位での調整が必要な機構との接合部が歪んでしまう問題がありました。

 それらを修正する方向で何とか進めていたのですが、今後のことも考えるとあまり筋が良くないと考え、造形が一通り完了した7月のタイミングで仕切り直しすることにしました。丁度半年かけて、二体作っていたことになりますね。下図はそれぞれ胸部の機構、上半身、そして腹部の機構です。腹部の機構は数kgある胴体を支えなければいけないので、サーボモータのトルクは足りていても作りの問題から機構が折れてしまうことも多々あり、解決するためにはもう少し深い検討が必要そうでした。

 頭部もそれなりにきちんと作っていて、基本的な形自体はこの時点でできていました。ただ、リンク機構の可動部へのユニバーサルジョイントの採用等、再検討した部分も多くあります。裏側を見ると分かるように、中身はオレンジのフィラメントでできた胴体に粘土を巻いていますね。

 印刷直後の様子です。一度に印刷できるサイズではないので、分割して少しずつ足していました。ちなみに当時は3Dモデルを再利用可能なモデルを購入して使用していたのですが、そういったモデルは既に厚みが決められていたり取り回しがあまりよろしくなかったので、頭部及び胴体のモデリングを一からやる決心をしたのもこの頃です。

 そんなこんなで、こういった挫折を半年前にやって、今に至ります。