人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

淡々と進捗を生む辛い日々

あけましておめでとうございます。昨年は人形を動かしていたら一年経っていました。

godiva-frappuccino.hatenablog.com

 個展を開くぞ!と言っていたのでその経過の話をします。個展をやる場合は人形の数に制限はなくて一人でも可能という話を聞いたことがあるので、昨年作っていた子でやるか~と思っていたのですが、あと二人くらい思いついたので作っています。造形に加えてそれらの子も面白いことをしたいので結構時間がかかりそうです。仕組みを入れていく部分については技術的な検証を早々に済ませ、後は作るだけになったのですが、単純に粘土での造形が苦手で苦労しています。お顔綺麗にするの難しいですよね。

 そして、一番大切な昨年作っていた子のその後の作業として、いろいろ改良しなければいけない部分があり、技術的に改良可能であることを示したうえで細かい部分を作りこむ必要がありました。大雑把に課題は四つ、サーボモータのトルクの問題、姿勢の制御値の転送速度、カメラ映像の転送速度、眼球カメラの仕込み方でした。四つ目については展示などの長時間の運用では故障を考慮して眼球には埋め込まずに頭に取り付けてしまうかと考えていたのですが、残りの三つは解決する必要がありました。

 まず一つ目、トルクの問題はサーボモータの差し替えと機構の改良を行いました。元々使用していたMG996Rというサーボモータでは頭部の姿勢が極端な値になった際に重心がずれてトルク不足になっていたのですが、DS3218というトルクが2倍近くあるサーボに入れ替えて事なきを得ました。ただ、このDS3218の可動域が0~180°ではなく0~270°だったので制御方法が分からず、動作確認をしていた次第です。

godiva-frappuccino.hatenablog.com

 また、元々の首の機構の仕組みでは頭部の重心が大きく振れやすい設計だったため、球体関節らしい動作を一旦捨ててより安定した動作になる様に支点を首の球体の中心ではなく少し後ろに持っていく変更をしました。濃いオレンジの棒の上端が支点になり、リンク機構で動いています。

 次に、姿勢の制御値の送信でジャムる問題があり、当初はヘッドマウントディスプレイから制御用PCへの転送速度が遅いと思っていたのですが、どうやら制御用PCからArduinoへの転送の部分で問題が起こっているらしく、送るメッセージのサイズを減らしたら解消しました。今jsonで制御値を送っているのですが、元々5自由度で動作させようとしていた時の名残で残っていた命令を消して解消しました。本来ここはjsonではなくもっと文字数を切り詰める部分かなという気もします。

 そして、映像の転送速度については今使用しているヘッドマウントディスプレイであるPICO4の有線接続による通信で解消しました。元々UDPで10fpsで映像を転送していたのですが、時々ジャムる、画像サイズの制限がきつい等の問題があり、遅延とfpsの問題もありますが無線通信だと安定性に欠けるのが課題でした。そこをEthernet接続で解消しました。UDPだと一度に送れるメッセージのサイズの制限がきつくて、圧縮後の画像フレームでも480x480px程度が限界なので、折角メッセージサイズも少し緩和されて速度も爆速になったので、TCP通信でどの程度の遅延とfpsになるか試してみようと思います。ただ、Wi-Fiルータを展示場所に置かなきゃいけないのか~という気持ちもありますね。こればかりは無線通信でも同じ課題があったので仕方なし…電源も複数欲しいので大変です。

godiva-frappuccino.hatenablog.com

 以上、最低限の解消すべき問題は解消できたように思います。あとは長時間の展示に耐えられるか?というところなので、もう少し作りこんで微調整ができたところでお家で2日間起動しっぱなしの耐久テストなどやってみようと思います。今だとサーボの命令ミスって機構破壊したりしてしまうのでテストをしっかりやらないとですね…

 今の検証と精度向上はモチベーションの問題もあって2か月くらいかかりそうです。そして、二体追加で作る子たちは並行して進めるので粘土の乾燥とかの待ち時間は相殺できそうなのですが、やっぱり綺麗に作ったり技術的な課題の解消で4月末とかにはなりそうなので、そのくらいでそろそろ展示の場所とか探した方がよさそうですね…

 と思ったのですが、4月末に一つ申し込んでいるイベントがあり、そちらの参加が決定したらハードウェアも含めた実装を頑張らなきゃいけないので、御仕舞です!!!多分6月以降にできたら御の字という気持ちですが、夏本番になるとサーボも熱を持つし移動も面倒になるので、暑くなる前にやりたいですね。一応フルタイムで仕事しているはずなんですが、それ以外の時間は頑張ります。

設計したものが動いていて嬉しい…(これの5倍くらい失敗した印刷物があり、頭部を作るのにも数か月かかりました)