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思索・人形・エンジニアリング

医療漫画に感化されて手術をしてきた

皆さんは『K2』をご存じですか?

K2(漫画) (けーつー)とは【ピクシブ百科事典】

医療漫画『スーパードクターK』の続編であり、前作の主人公・KAZUYAに代わり、もう一人のKの一族の末裔である神代一人(かみしろ・かずと)と、KAZUYAのクローンである黒須一也(くろす・かずなり)が主人公となった。
KAZUYAたち表のKの一族を支える裏の一族でありながら、表の一族がKAZUYAの死によって途絶えたためにKの称号を受け継いだ一人を中心とした医療ドラマと、生まれながらにKAZUYAの資質を持つ一也の成長物語の2つの軸を持つ。

また、他の医療をテーマにした作品と比べて、病気と闘う姿勢や向き合い方に重点を置き、利権や制度の融通の利かなさに関する話はあっても派閥争いなど人と人のいがみ合いなどのドラマは控えめにしているため、治療や医療行為が滞ることで話の焦点がテーマから外れたりぼかしてしまうことが少ない。

そういう話です。無料公開期間に450話読んだうえで、前作の『スーパードクターK』も無料公開の100話分一気に読んだので、医療に対する意識やその作中人物の医療に対する善性に感化されて、病院に行ってきました。

気になっていたところとして、後頚部に4cmほどのしこりが一年ほど前からあったので、さっそく病院へ。診察後にエコー・血液検査を経て触診をし、恐らく良性の脂肪種ではないかという話になりました。脂肪種は以前知り合いが切除するかもしれないという話になり、その際焼肉にしよう!と意気込んでいたことがあり、ある意味なじみ深いものでもありました。結局食べることができず、その点については未だに少し未練があります。ただ、実際に検査してみないと悪性の可能性も否定できず、今回は検査に回す為いただくことも難しそうでした(そもそも脂肪種のレビューが検索で出てこない為、もしかしたら食べ物ではないのかもしれません)。

『K2』だと、何でもない診察かと思ったら思わぬ病変を見つけて「いかん、手術の準備だ!」と展開していくことも多いのですが、今回は特に緊急性は無い可能性が高かったのですが、悪性腫瘍だった場合を考えると早めに大勝した方が良く、見た目的に気になる、他には大きくなると首こりに影響するかもという個人的な懸念から手術を決定しました。4cm程度だったのですが、手術自体は日帰りで実施し、その後血を抜くためにドレーンという管を刺して一日ほど放置し、その後はガーゼを当てて1,2週間経過したところで抜糸という流れになります。医療漫画ではオペや病気が花形になってしまいがちで、ドラマチックではないその周辺の流れをきちんと知るというのも結構重要なことだと思いました。ただ、その点は『K2』では比較的きちんと描かれており、術後のケアについて説明されていたり、患者の精神面を含めたケアの全体について考えさせられました。

手術は夕方に実施したのですが、まずは手術着に着替えて血圧などを測定します。看護師の方に丁寧目に問診を受けたのち、準備室のような場所にしばらくいたのですが、スマホを持ち込んでよいことを知らなかったので、ひたすら瞑想していました。そして、手術室に行きます。執刀医は経験のあるご年配の先生だったのですが、突如研修医の方と思われるフランクな方に「本日は私が担当します」と紹介をいただき、手術直前にイレギュラーが発生すると不安になるな…という発見がありました。

手術室に入ると執刀医や助手を含めて5名ほどおり、挨拶すると早速手術台に乗せられます。体の位置などを調整して、布団をかけてもらったりしたら、首に麻酔注射をされます。それなりに痛みはありましたが、以前歯の神経を取る際に滅茶苦茶痛くて滅茶苦茶でかい注射を打たれたことがあり、それよりはマシでした。何ならぐりぐりされる血液検査の注射の方が怖くてよく貧血になっていたため、逆に麻酔は途中から痛みが薄れる安心感がありました。以前歯の神経を削り取る際に麻酔が切れて神経をじかに触られる経験があり痛みのショックで死んでしまう!と思ったのですが(長男なので耐えられました)、今回も若干感覚はあるようで、術中も首のあたりがピリピリしたり痛みがありました。まぁそのまま首をメスで切られたら激痛なのでそれなりに効いていてよかったです。

手術の手順としては、まず皮膚を横に切り裂いて、露出した脂肪種を焼き切り、糸で縫い付けた後に血がたまるのを防ぐためのドレーンという管を刺すといった流れになります。この間意識があるので、「これ多分良性ですね」「あっはい」といった会話をしたり、執刀しながら手術と関係ない電話の事務連絡をしている様子を聞いたり、首がレーザーで焼かれる音が脳に響いたりしていました。局所麻酔なので周辺部分には感覚があるのですが、糸を縫い付けるときは結構引っ張られている感覚がありました。

そんなこんなで手術が終わり立ち上がり、実は歯医者で麻酔切れちゃったことがあって~みたいな話をしたら、今回も成分は同じようなものだということを教えていただけました。準備室に戻ったらその後の経過についての話を聞き、帰宅します。その際首を動かさない方が良いか質問したところ、「治りには影響しないけど痛むかもしれないです、まぁロボットみたいになる必要はないですよ」と言われたので、折角なのでその日の夜は首の3自由度分を意識的に動かすよう気を付けました。丁度モーターで首が稼働する人形を作成しているところなので、可動域によってどのような感覚になるのか把握でき、ロボットの気持ちになれました。また、人形も首をのこぎりで切られたりして大変だなぁという気持ちになりました。

一日経過して管を抜いてもらい今に至るのですが、2日程度水にぬらさないよう気を付ける必要があり、シャンプーができなさそうなのでドライシャンプーを試してみようと思います。一応痛み止めを飲んではいるのですが、首を切開しているので普通に痛みがありますね。

歯医者での諸々を除くと人生初手術だったのですが、かなり良い経験になりました。手術における一通りの流れを知ることができて創作や他人の話を聞く際の解像度が高くなった他、若いうちに軽めの手術を経験しておくことで今後の人生で起こるであろう大きな手術に対する覚悟の準備ができたと思います。その他、ロボットや人形を扱う人としてはそういった対象に為される操作を人間が受けるとどうなるのかといった視点の転換ができたのは結構面白かったです。ただ、手術跡は残りますし、しばらく生活への不便や痛みは残るので、当然ですが必要がなければ無理にやらない方が良いというのも学びになりました、結果そういう学びも含めてやって良かったのです。

リスクマネジメントとして、発生する確率や発生した際の障害の大きさを考慮して、早めに動いておくことは重要です。その為に、不安なことがあれば早めに動く、そして定期的な検診を心掛けるようにしましょう!(医療啓発漫画の締めっぽい発言)