人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

アンドロイドの構成要素を考える

人形になるぞ!

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 人形になる為に憑依できるシステムを作っています。そこで、実際に作成するにあたって、作業を分割していきます。

人形としては、造形の作業があり、昆虫でいうところの外骨格のようなものになります。メカといえばモータなどの機構が見える部分がエロティックですが、造形との両立を図ります。あまりみえていないものとしてはPepperでしょうか。彼は首や腰、肩が実は球体関節となっており、それぞれ1もしくは2方向に回転します。

 そして、ロボット・アンドロイドとして考えると、まずハードウェアとなる機構を作成する必要があります。これはモータをどこに何個配置するかによって、どの部位がどの可動域で動くかを決定します。球体関節人形を作る際も、どこを関節にするか悩まれる方が多いかと思います。特に腹部を球体にするか、その場合二重関節にするか等、よく考えたいものです。アウトプットとしては人形がどのように動くかを決定するものですが、それをどう動かすか、規定するものになります。

 最後に、機構と切り離せいないのが動作です。これはソフトウェアになります。原始的な例として、からくり人形はゼンマイを巻くことで周期的な動作を可能としており、他にも傀儡人形は人が糸で引っ張ることで動作させます。仕組みとしては後者に近いのですが、この動作をプログラミングすることによって自律もしくは遠隔操作可能な形にします。勿論これらを組み合わせることも可能で、HRI(ヒューマンロボットインタラクション)研究ではロボットを遠隔地で人間と会話するエージェントとして遠隔操作する際に人間が見たい方向に顔を動かすよう操作するだけではなく、それを補助するように半自律的に動いてやる仕組みを導入するようなものもあります。

 以上から、造形・機構・動作の三つの軸が浮かび上がります。そして、ロボットとして考えたときに機構と動作が関連するのは言うまでもありませんが、造形と機構も密に結合しています。というのも、外骨格として人形の身体を使用する際に、機構を内部に納めて動かせる必要があります。一般的なロボットは角ばった身体をしていることが多く、それこそメカが露出している場合には機構の形がイコールでロボットの形になりますが、人体は丸みを帯びた部分や有機的な構造をした部分が多く、うまく収める必要があります。特に、別途考察しますが関節部分は人間であれば筋肉が収縮するところをモータで再現する為にモータを収める点があります。以前使用していたアンドロイドであるジェミノイドは空気式の人工筋肉が搭載されておりリアリティがありましたが、巨大なコンプレッサーにつながれ、定期的にコンプレッサーが爆音で鳴っていたのを覚えています。

 そんなこんなで、タスク一覧を書きだしたものの、それぞれが絡み合うため、その依存関係は脳内で処理することとしました。それぞれタスクを書き出したのが以下です。7月にしきりなおししたため、造形は一からやっていますが、機構については一度首の機構を作成していた為、一応再度検討する程度のものとなっています。ソフトウェアについては他で詳細に説明しますが、操作するヘッドマウントディスプレイ側とロボット側のシステムがそれぞれ存在する形になります。

これらを実現する為に、さらに詳細設計を深めて作業していきます。2023年12月2日時点で、造形は粘土作業がほぼ完成してこれから下地塗装、機構は眼球以外完成、ソフトウェアは1stリリース用に最低限のものを組んでいます。実際ここまで進んだ段階で、この三つの軸での切り方によって作業がしやすくなったと感じています。

 絵を描く時もただ線をなぞるのではなく、その線の意図をくみ取ることが大切で、それは任意の創作について同様であるように感じました。