人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

人形の外骨格と機構を繋ぐインターフェースの概念

人形になるぞ!

godiva-frappuccino.hatenablog.com

 機械で人形を動かすにあたって、人形の体は粘土で、そして機構には金属や3Dプリント品を用います。そこで問題となるのが、その境目をどのように作るかです。粘土は可塑性に富んでおり、乾いた後も細かく削ることができます。それは逆に欠けてしまったり耐久力への問題にもつながります。一度機構とのはめあいを作っても後から人形側の形が変わってしまうと機構も修正の必要があります。

 そこで使用するのがインターフェースの概念です。上記の場合は人形側の粘土のすり減りが問題になる為、粘土側に剛体のパーツを埋め込むことで、この問題を解消できます。まずは、粘土に金属部品を埋め込むシンプルなパターンの場合は機構を3Dプリントする際に金属部品に合わせて印刷していきます。この場合1mm単位での調整は機構側で可能になります。次に、別パターンで中間部品を挟む場合です。機構が複数パーツからなる為実質的には同じなのですが、検証段階で形の異なる機構を作成した場合に、仕様変更や印刷の精度の問題で金属部品にぴったりはまらない場合があり、そういった時に機構自体を印刷しなおすと手間がかかる為、接続用の部品を外だししてやることで、中間部品によってズレを吸収してやることができます。

 人形の首機構を動かすにあたっては、首に近い部分及び機構全体の土台となる旨部分に固定するための金属部品を配置しました。少し見づらいですが、濃いオレンジが金属部品となっており、粘土で作る胴体にめり込んでいます。金属部品は丸穴が開いており、その奥にナットを仕込むことでねじ止め可能になっています。

 また、こういった部品はいくらズレを吸収できるとはいえ球体関節部分を含めてある程度厳密に寸法を守らなければいけない個所もあり、1mmずれたら穴に入らなくなるのできちんと埋め込む必要があります。そこで、固定用器具をサポート用に作成していました。薄いオレンジ部分が補助部品で、粘土を貼り付けた後に補助部品で挟んだ金属部品を粘土に埋め込んで固定し、乾いてから外しました。これによってある程度コントロールが効きます。とは言っても粘土の収縮によるゆがみなどもあるので、最終的には完成済みの機構や胴体をガチャガチャ動かしながらピッタリはまるように素手で微調整することもありました。しかし、そのあとに乾くまで待つ必要があるのでこういった補助部品がかなり役に立ったことには変わりありませんでした。

今回は粘土と機構のつなぎの話をしましたが、粘土で作成した部品同士のつなぎにもインターフェースの概念が役に立ったので、そちらも別途紹介しようと思います。