人間のあるべき姿の探索

思索・人形・エンジニアリング

3Dモデルを人形の型取りに使用する

人形になるぞ!

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 機械を仕込んで動く人形を作るにあたって、設計図として3Dモデリングツールを使用すると共に、完成したモデルを型取りに使用します。以前3Dプリンタで3Dモデルを印刷して、そのフィラメントを型として使用できないか試した記録があり、基本的にはこの内容を実物大の人間サイズに適用したものになります。

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 まずは、3Dモデルを用意します(ドンッ)が、胴体が50cm以上あり、一般的な3Dプリンタでは印刷することができません。僕の環境では22cm x 22cm x 25cmが最大サイズの為、工夫する必要がありました。問題を解消する為に、胴体を分割して少しずつ印刷します。ジョジョの奇妙な冒険5部の輪切りのソルベを思い出します。

 そして、分割できたモデルは順番に印刷用データを生成するスライサーに読み込ませて、実際に印刷していきます。画像は印刷しなかった左臀部、腰下部分だけで30時間程度かかりますし、粘土を乾かすのにもかなり時間が必要なので印刷しては粘土を貼って乾かし、乾燥する前に次のパーツも印刷してという日々がありました。また、印刷後の各部位を固定する為にねじ穴を開けた突出部を作ってあげました。

 以前の検証の際はあまり問題がなかったのですが、大きい人形となると、粘土の収縮による影響や重さによるゆがみも相当ありました。今回使用したPLAフィラメントは厚みを持たせて印刷すればそれなりの強度になるのですが、今回は時間の節約の為に極限まで薄くした状態で型を印刷しており、胴体の印刷で100時間は越えているところが数倍~十倍になっていたら物理的に作業が終わらなくなるところでした。しかし、この厚みだとある程度柔らかく、大きければ尚更形が変わる為、粘土を貼り付けたのちに形が歪まないようにうまく置いてやる必要がありました。横に倒した場合には貼り付けた粘土も自重で剥がれ落ちてしまう可能性が高く、この辺りが大変だったように感じます。    

 地味にフィラメントが触れていた面は一日経っても全然乾かないので、少し熱を与えつつ自重に耐えられる程度になったら外してやる必要がありました。そういう面でも、一周まとめて印刷してしまうよりは、分割して印刷して、外す際にはネジ止めした部分を外して剥がせる仕組みが功を奏しました。このサイズだと直接熱源を面に近づけるのは困難なので、蓋をしてあげると熱がこもってかなり効率的でした。蓋をしないと全然温まりませんが、蓋をすると粘土全体が火傷する程度には熱くなります(アツイアツイ!!と叫びながら取り出すのがたまらないですよね)。

 収縮が怖くて部屋にあるものを手当たり次第に突っ張り棒に使ったりしました。ラドールだと3~4%程度だと思うのですがそれでも隙間ができてしまうのが怖かったです。今回は5~10mm程度で盛っていたのですが、それでも高さ20cm分で粘土を2kg近く使用していたので、厚みをつけるのは金銭的にも難しかったです(ここ最近ラドールが品薄な影響もあり、無駄に使うのも憚られました)。

 厚みの補強の為に、より軽い素材のプルミエを内側に足したりしました。結論から述べるとあまり有効ではなく、やはり収縮率が高いので結構強めにラドールの層に押し込んでも隙間ができてしまいます。隙間があると移動の際の揺れが怖いので、もし運搬する機会があれば、しっかりプチプチなどで包み動かないようにする必要がありそうです。

 あまり資料写真が見つからなかったプルミエ層、明らかに色が異なる内側がプルミエ層ですが、しばらく乾燥させると浮いてきてしまいます。貫通したときに粘土を盛る土台になるので無意味ではないのですが、やはり隙間があると土台としても不安です。多分60cm程度の小さい子なら収縮率加味しても問題なさそうですが、難しいものですね。

 胴体のパーツは上から順に作成し、それぞれが乾き次第積み重ねて圧着していきます。特に胸部は大きく盛る必要があったため先に造形を始めていたのですが、下の写真が圧着部分が残っており分かりやすいかと思います。表面は綺麗ですが、結局造形の段階で跡形もなくなります。造形の完成形についてはできた段階で紹介します(造形のラストスパートで磨き中、、、)。